TVでよく目にする謝罪会見。心から反省しているか、画面を通しても伝わるものだ。(写真=AFLO)

不祥事を起こした企業のトップが謝罪したり、プライベートで迷惑をかけた人に許しを乞う。そのようなときに問われているのは、脳の「反省力」である。

もちろん、お辞儀の角度だとか、相手との視線の合わせ方だとか、場合によっては「土下座」をするとか、そのようなコミュニケーション上の技術はある。それにしても、本人が心から反省していなければ、相手に誠意は伝わらないだろう。

何よりも、反省することは、自分自身の行いを改善することにつながる。迷惑をかけた相手には、誠心誠意謝るべきである。同時に、それは、自分が考え方を改め、行いを変える絶好のチャンスともなる。

マズイことになってしまったら、どうしてそこに到ったのかを辿り、いわば自分の人生の「デバッギング」をするのが、1番「筋のいい」やり方なのだ。

ここで言う反省は、認知プロセスとして見れば、「現実」と「仮想」を比較することである。実際には「A」という行動をとってしまったが、その気になれば、あるいは気づいていれば「B」という行動もとることができた。そのほうが、結果としてよかったかもしれない。このように、「実際の行動」と、「できたかもしれない行動」を比較することが、「反省」には欠かせない。

例えば、十分な品質管理をせずに、顧客に迷惑をかけてしまった。さかのぼって検査態勢を充実させていれば、このような事態は招かなかったかもしれない。そのように、過去に自分がとった「実際の行動」と、「できたかもしれない行動」を比較することで、私たちは反省を深めることができるのである。