認知症より怖いのは「ヘボな医者」
ただし、医者選びには注意が必要です。精神科ならどこでもいいということではありません。
精神科医を標榜していても、臨床経験がほとんどない医者もいます。たとえば、定年後、開業した大学教授がやっているクリニックなどが、それです。現役の頃から、ほとんど患者さんを診察したことがない可能性さえあります。あるいは、診察していても、ずっと研究の片手間というスタンスだったので、臨床医として、ものすごくヘボなのです。
こうした医者の中には、患者さんの顔を全然見ずに、簡単な問診しかしない医者もいます。それも、パソコンに向かいながらやるのですから、患者さんの症状の正しい把握は望めませんし、的確な治療法の提供も当然できません。
処方箋を書いて「では、2週間後にきて下さい」とものの5分もしない診察で終わるような医者では、認知症の症状を遅らせることなど到底できません。
治療意欲がないと判断して、付き合いをやめてしまっていいでしょう。
本当の名医は「目の前の相手と向き合う」
こういう医者は、むしろ、医者のほうの前頭葉の機能不全を疑っていいのです。共感能力がありませんし、可能性を考えてみる想像力もない。あるのは、狭い専門知識からくる「決めつけ」だけです。おおかた、前頭葉の機能が低下して、挑戦する意欲を奪われているのでしょう。
患者さんが、薬や治療法を質問したり、不満を訴えると、たちまち機嫌が悪くなる医者もいますが、これは、共感能力のなさに加え、感情のコントロールもできなくなっているのです。まさしく、前頭葉の機能の低さそのものを示しています。
安心していい医者は、すべてこの反対です。
目の前の患者さんときちんと向き合い、話をきき、頷いたり、アドバイスをくれたりします。「とにかく、様子を見ましょう」とか「薬を続けて下さい」という言葉とともに診察を打ち切ったりはしないものです。
信頼できる精神科医を見つけることができれば、認知症の治療に役立つことはもちろん、これからの人生の頼りにもなります。気負わず、さらっと相談に行ってみて下さい。


