安心の優先で、言葉から自分らしさが消える

しかし、「あなたがいると、チームが明るくなるんですよ」と言われたらどうでしょう。言葉の内容は似ていても、心への届き方がまったく違います。

人はなぜ、つい聞き慣れた言葉を使ってしまうのでしょうか。

その根底には、承認されたい欲求があります。心理学者アドラーは「人間のあらゆる悩みは対人関係の悩みである」と言いました。つまり、人は常に「相手に嫌われたくない」という恐れを持っています。

そのため、誰も傷つけず、否定されにくい“無難な言葉”を選ぶ傾向があります。「凡庸なフレーズ」とは、まさに集団への同調の産物なのです。

そうして安心を優先すると、言葉からあなたらしさが消えます。「印象に残らない」ということは、相手の記憶に残らないということ。それは、ビジネスでも人間関係でも、存在感を失うということです。

「お疲れさま」より「圧巻でしたね」

では、どうすれば自分の言葉を“生きた言葉”に変えられるのでしょうか?

心理的抵抗を感じずに始められる3つの方法を紹介します。

①言葉に「情景」を加える

「お疲れさま」ではなく、「今日のあのプレゼン、圧巻でしたね」

相手の記憶の中の映像を呼び起こすことで、共感が生まれます。

会議中の様子
写真=iStock.com/itakayuki
※写真はイメージです
②感情の言葉を足す

「良かったですね」ではなく、「それを聞いて、私までうれしいです」

自分の感情を添えると、距離が一気に縮まります。

③“ちょっと変”を恐れない

「今日もがんばりましょう」よりも「今日も、いい波に乗りましょう」

言葉に少しのユーモアや比喩を入れると、印象に残ります。人は“正しい言葉”よりも、“温度のある言葉”に動かされるものです。

【凡庸フレーズの例】

「引き続き頑張ります」「特に問題ありません」「検討します」

「しっかりやっていきたいと思います」「努力します」「頑張ります」「勉強になります」「共感しました」「全力で頑張ります」

以上の言葉をインパクトのある言葉に言い換えていきましょう。

凡庸なフレーズを使う理由は、心理的には以下の特徴を持っています。

1.自己防衛的な言葉→「失敗したくない」という心理から選ばれる。
2.同調圧力への適応→集団に合わせることで“安全”を感じるが、個性が消える。
3.認知的省エネ→新しい表現を考えるのは脳のエネルギーを使うため、既知のフレーズを選ぶ。
4.感情の回避→感情を表現すると(心の露出)を感じるため、曖昧語でごまかす。

凡庸フレーズとおさらばしよう!