人間関係で悩む人とそうでない人の違いは何か。一般社団法人日本聴き方協会代表理事の松橋良紀さんは「人間関係でトラブルが絶えない人は、抑圧された感情が“圧縮ファイル”となり潜在意識に格納され、人生の大事な場面で“予期せぬバグ”として噴き出す。代表的なのが『親を尊敬するいい人』という理想的な子供を演じて、『親を完璧な存在』と見なすことで、自分を防衛していく方法だ」という――。
※本稿は、松橋良紀『誰とでもうまく「話せる人」と「話せない人」の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
無理難題と幼少期の苦しい「経験」の違い
あなたは今までの人生で、
「どうしようもない。こんな出来事を乗り越えるなんてできないよ」
と、いったんはあきらめかけたものの、誰かのサポートなどのおかげで何とか乗り越えられたという経験はありますか?
当時は無理としか思えなかったことを乗り越えられた体験は誰にでもあるはずです。
そして当時、あなたを苦しめた無理難題は、乗り越えたあとにすばらしい経験として、一生の支えになっていきます。
このように、苦しんで乗り越えたものは、「経験」という名前の武器として助けてくれます。
しかし幼少期の経験は違います。
カウンセリングをしていて思うのは、幼少期の苦しい経験のせいで、苦しんでいる人はとても多いということです。
私たちは幼少期に、しつけという名のもとに、いろいろ注意されたり、怒られて育ちます。
怒られた経験がなくても、親の不機嫌な表情や声色で、親が悲しんでいる、怒ってると察する能力を身につけた人もいるでしょう。
何かしてほしいことを口にしたとたんに頭ごなしに怒られて、
「ああ、自分の望みは叶えてもらえないんだ」
という拒絶を体験した。
あるいは、
「自分よりも他の兄弟が大事なんだ……。自分は愛されないんだ」
という喪失を経験した。そんな人もいるでしょう。

