相手の心に届く褒め方はどうすればできるか。一般社団法人日本聴き方協会代表理事の松橋良紀さんは「お世辞がうまい人は、周りがどう思おうが、本人が事実だと思ったことを口にしているだけだから相手に響く。ミエミエの褒め言葉でも潜在意識を揺り動かす力は十分にあるため、どんどん使ったほうがいい」という――。
※本稿は、松橋良紀『誰とでもうまく「話せる人」と「話せない人」の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
見え透いたほめ方をするトップセールス
営業時代に、常にトップセールスの後輩に同行したことがあります。彼はお客様相手に、お世辞を言いまくりでした。
「こんな素敵な町に住めるなんてうらやましいです!」
「こちらのお宅、御殿みたいですね! こんなお宅にいつか住みたいという夢ができました!」
こんな見え透いたお世辞は通じるのかなと思いつつ、お客様の顔を見るとまんざらでもなさそう。商談を終えて車に戻ってから、半分嫌味を交えながら言いました。
「あんなミエミエのお世辞を、よく言えるよね。嫌がる人とか、怒る人とかいるでしょ」
「何を言っているんですか。たまに嫌がる人はいるけど、基本的にはどんなにミエミエでも、みんな喜んでくれますよ。ほめて怒る人は僕とはもう相性が合わない人。気楽にほめることができるから僕はトップセールスなんですよ」
なるほど。気楽に褒めることができる彼と、褒め言葉を全然言えない私の違いが、大きな成績の違いなのかも。なかなかの衝撃でした。
「ただねえ、さっきの町が良い地域だとか、お客さんの家の造りは御殿だとか、私にはとうてい見えないのに、よく言うなあと思ってさ」
「いえいえ、お客様が本人的には気に入って住んでいる町と家だったら、ほめられてうれしいでしょう。何がヒットするかわからないから、思いついたことをいろいろ言ってみるだけですよ」

