「オバケなし」の証明書、その効果は…

認知度が上がることで、カチモードが発行する「異常なし」証明書の信頼性も高まってきている。実際に賃貸物件サイトなどで事故物件の情報に掲載されたカチモードの証明書を見て、「児玉さんが関わっているなら」と契約を決める人も少なくないというのだ。

「これまでカチモードが『異常なし』を証明してきた物件は、すべて家賃を下げずに入居者が決まったという実績を作れていますね」

一度は物件の利益をあきらめざるを得なかったオーナーが救われているのである。

また、事故物件はとりまく人々の心にネガティブな影響を与えがちだ。

家賃収入の経済的損失や精神的ショックから遺族に巨額の慰謝料を請求するオーナーや、肉親を失ったばかりでその対応に苦しむ遺族。オーナー・遺族間で起こってしまう、やるせない裁判も珍しくないという。

ほかにも自分の子どもが亡くなったことで、「今も物件に子どもの魂がとどまっているのではないか」と遠方から毎月手を合わせに来る親。そして命が絶たれた後もあらぬ噂を立てられてしまう“元入居者”。

事故物件を正常な状態に戻すことは、それぞれの立場で苦しんでいる人々の心を癒すことにもつながっているのかもしれない。

事故物件は増え続ける、だから存在価値がある

「きちんとした統計を取るのは難しいのですが、あくまで私の個人的な試算でいうと、日本国内でここ20年の間に8~10万件が事故物件になっていると考えられます」

調査物件
筆者撮影
「異常現象が起こる」という前情報でかまえていた筆者だが、入ってみると広々として綺麗な良い物件だった

そのほとんどがかつては入居者に選ばれた「ふつうの物件」だったわけだ。

「物件で亡くなった人の多くは、当たり前ですが生前は私たちとなんら変わらない人間で、『オバケ』と怖がられるような存在ではなかったはずなんですよね」

不明瞭な部分を科学的にクリアにしていき、入居を検討している方々が抱く“なんとなく気味が悪い”という心理を払拭する。それはオーナーだけでなく、ひいてはその事故物件に関係するすべての人々の気持ちを少しずつ救済していく――それこそが「オバケ調査」というビジネスの存在価値なのかもしれない。

調査物件に立つ児玉さん
筆者撮影
調査物件に立つ児玉さん
(取材=蜜ツ冶、昌谷大介(A4studio) 文=蜜ツ冶(A4studio))
【関連記事】
【写真を見る】「オバケ調査」に使う機材(実物)
【写真を見る】事故物件と呼ばれる住宅内(実物)
新大阪駅から15分なのに巨大廃墟がそびえる…「消えた終着駅」が映し出す昭和のニュータウンの栄枯盛衰
地方衰退の一番の原因は「人口減少」ではない…山口の超富裕層が「住民税43億円」をまるっと抱えて移住した理由
手作り弁当550円、おにぎりは今でも110円…セブン、ローソンがマネできない吉祥寺「個人コンビニ」の地味な戦略