しかし、再び各世代内の状況を詳しく見ると、こうした金融資産の増加は一部の世帯に限られていることが分かる。世帯主の年齢階層ごとに、預金なども含んだ貯蓄残高の大きさで各世帯を分けて見ると、貯蓄残高上位20%の家計の株式・株式投資信託の保有残高は2019年から2025年にかけて大幅に増加している一方、中間20%の家計の株式資産はほとんど増えていないことが分かる(図表5)。

コロナショック後の株価の大幅な上昇の恩恵は、もともと金融資産を保有していた、あるいは株式投資に取り組む余裕のある世帯に集中しており、多くの家計がその恩恵を享受できていない状況だ。

【図表】年代別・1世帯当たり株式・株式投信保有残高の変化
出所=総務省
(注)点線は2019年、実線は2025年。二人以上世帯の世帯主の年代別。貯蓄には預金、生命保険、有価証券などを含む。

株高の恩恵からも取り残されている

また、貯蓄残高中位20%の家計で比較すると、30~39歳や60~69歳といった年齢階層に対し、50~59歳の年齢階層の金融資産の伸びが小さく、2025年には資産規模で若年層に追い抜かれていることが分かる。

就職氷河期世代の半数が該当するこの世代は、中間層でも金融資産を形成するだけの資金余力が乏しく、株高の恩恵からも取り残されている状況だ。

こうした金融資産の格差は、賃金の格差以上に、一度開いた差を縮めるのが難しい。2026年に入ってからも、日本の株式市場では一段と株高が進展しているため、足元ではむしろ差が開いているとみられる。

NISAの普及などにより、「貯蓄から投資へ」の移行はここ数年でようやく進展してきたと評価できるものの、今後はさらなる金融教育の拡充によって幅広い世帯に裾野を広げることに加え、そもそも貯蓄する余裕のない世帯をどう支えるかという観点が重要になってくるだろう。

特に、賃金カーブがフラット化している状況では、勤労者世帯全体では格差が縮小しているように見えるため、世代内での格差拡大(ワイド化)が同時に進行している点を十分に認識したうえでの政策対応が求められる。

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