これに思い当たるならスマホ中毒

同書を読み、大きな衝撃を受けたことが2つある。

ひとつは、子どもであればスマホを毎日3~4時間以上使う子どもは、脳の多くの領域で「発達」が止まる。加えて、脳が発達した成人でも、スマホを長時間使用すると、脳が働くのをやめてしまい、思考力や判断力が低下してしまうこと。

もうひとつは、スマホ依存傾向が高ければ、脳の萎縮に対する耐性が弱く、認知症の発症や進行を早めてしまう可能性があるということだ。

ちなみに私のスマホのスクリーンタイムは、平均して1日1時間30分程度。かなり少ないほうではないかと思う。ましてや依存ではないはずだ。ないはずなのだが、同書の帯に記された次の項目には、当てはまるものがいくつもあった。

<なんの疑いもなく 次のようなことをしていませんか?>
□朝いちばんにLINEやSNSをチェックする
□料理や洗濯の最中にインスタントメッセンジャーに反応する
□家族と食卓を囲んでいるときについスマホを見る
□子どもがグズるとスマホやタブレットでお気に入りのアニメを見せる
□動画を倍速で視聴する
□目的地への道案内をスマホにしてもらう
□寝るときに寝室やベッドにスマホを持ち込む

『スマホ依存が脳を傷つける デジタルドラッグの罠』(宝島社新書)より

<思い当たるならスマホ中毒です!>ともある。

これは直接、川島教授にさまざまな質問をするしかないと、私は取材の申し込みをし、東北大学加齢医学研究所を訪ねた。

東北大学加齢医学研究所
筆者撮影
東北大学加齢医学研究所

10秒しか集中力が持たない

開口一番、「大人の場合は、スマホ依存の境界線はどこにあるのでしょうか?」と尋ねると、

「私の考えでは、スマホを“道具”として使っているかどうか、です」と川島教授。

「例えば新幹線の時刻を調べたり、組織とのメールのやり取りをしたりといった行為は、道具としての正しい使い方でしょう。今日の株価は? イランの戦争はどうなっているのか? など目的意識を持ってニュースを検索することも、道具として使えています。しかし、隙間時間に、何となくといった理由で、動画を見てしまう、SNSを使ってしまう、ゲームをするのは、境界線を踏み越えたものだと思います」

また最初は目的意識を持ってニュースを検索していても、途中で気になる動画や別の記事を見つけてクリックする、あるいは何かの通知がきてそちらに気持ちが引き込まれてしまうことはないだろうか。これも目的からそれた時点でアウトだという。

「何かひとつに集中しようとしても、情報の割り込みが入ると、注意が別のものにいってしまう。このような行為を心理学の世界ではスイッチングと呼び、繰り返し行っていると、集中力がどんどん短くなることが明らかになっています。2015年にマイクロソフト社が出したレポートでは、カナダ人の成人の2割が10秒しか集中力が持たないと発表しています。共通項としてはSNSをしている、ICT(情報通信技術)のある施設で働いている、学んでいること。自分たちがつくり出した社会で集中力が短くなっていますよ、ということを警告しているのです」