世界経営計画のサブシステムを生きる

十数年前に、『置かれた場所で咲きなさい』という本がベストセラーになったことがあります。でも僕は、この言葉にあまり賛同できませんでした。

たしかに、縁あってそこに置かれたなら、咲けるように努力や工夫をしてみればいいと思います。でも環境に適応できなければ、何をどう頑張っても花は咲きません。それがわかったら、咲けそうな場所に移ったほうがいいに決まっています。

極端な話、パワハラやセクハラなどが横行し、みんながそれを見て見ぬフリをしているような会社だってあるでしょう。コンプライアンスがめちゃくちゃなブラック企業もあります。そんなところで無理に適応してはいけません。

いまは人手不足ですから、あなたのような若い人たちは引く手あまたです。運がよければ、自分が適応できる場所に出合えるでしょう。そこで楽しく働いているうちに、それまで自分が思ってもみなかった「やりたいこと」が見つかるかもしれません。

「やりたいこと探し」はキリがありませんが、いっぽうで、人には「生きがい」が必要です。

でも「生きがい」という言葉はあまりに抽象的です。よくわからない。そこで僕は、「生きがい」という意味を「世界経営計画のサブシステムを生きる」と呼ぶことにしました。

僕も、そしてあなたも、身のまわりの世界を良くしたいと思っているはずですよね。たとえば、通信手段がさらに便利になればいいのにとか、みんなで美味しいものを食べられるようになりたいとか、仕事の環境をもっとみんなが働きやすい場にしたいとか。

それを「自分が周囲の世界を経営してもっと良くしたい」という意味で「世界経営計画」と呼んでいます。それが生きがいだと僕は思うのです。

努力は世界のあり方にも確実に影響を与える

なぜ、「メインシステム」でなく「サブシステム」かといえば、「世界経営計画」のメインシステムは神様しか担えないからです(人間ができるのは、せいぜい世界経営計画のサブシステムを担うことです)。

誰も行ったことのない場所へ行こう。そして誰もやらなかったことをやろう。
出口治明『誰も行ったことのない場所へ行こう。そして誰もやらなかったことをやろう。』(祥伝社)

世界経営計画のサブシステムを担うためには、世界を正しく理解することが前提です。

ところが、人間は、人生観や常識、自分の価値観といった「色眼鏡」で世界を見るので、周囲を正しく理解することが難しい。だからこそ、物事を「数学・ファクト・ロジック」と「タテ・ヨコ」の視点で捉えることが大切です。

その前提で、「世界経営計画のサブシステムを担う」と考えてみてください。あなたの努力はあなたの人生だけでなく、この世界のあり方にも確実に影響を与えている。

そういう意識でまわりをながめてみてください。僕たち一人ひとりが周辺の世界をもっと意識しながら行動することによって、変えていけることがまだあるのではないだろうか、と。

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