生命保険会社に就職したのは「何かの縁」

もちろん、生まれる時代や場所と違って、「どこで働くか」は自分で選ぶことができます。とはいえ、選んだ会社に入れるかどうかは相手次第。必ずしも自分の思いどおりにはなりません。

たとえ運よく第一希望の会社に入れたとしても、配属先や上司は選べないでしょう。完全に「自分に合った思いどおりの環境」で働けるとしたら、その人は幸運すぎます。でも、そんな奇跡はまず起こりません。

僕が新卒で生命保険会社に就職したのも、ほぼ偶然のようでした。前にも書きましたが、当時は司法試験を目指していたこともあって、民間企業のことなど何も知りません。

たまたま友人がそこを受けるというので、生命保険のことなどまったく知らないのに、ついていって一緒に受けました。

結局、司法試験には落ち、内定をもらったのはその会社だけでした。それで「これも何かの縁だろう」と思って入社したのです。ほかに行くところもないので、そうでも考えなければ仕方ありません。

ですから、その会社で何か「やりたいこと」があったわけではありませんし、自分に向いているかどうかなんて考えもしませんでした。

路上で若いアジアの冷静な態度のビジネスマンの肖像画
写真=iStock.com/monzenmachi
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「どこで働こうが大差ない」理由

もちろん、仕事が楽しくなるよう、自分でもいろいろなことを試みました。設定した時間内に目の前の仕事を終わらせられるか、自分と時計の針で競争してみたり。コピー取りを頼まれたらコピーする書類に目を通してみたり。

とくに「やりたいこと」があって入ったわけではなくても、その環境の中で、「効率的に働く」という明確な目的のためにチャレンジできることはいくらでもあります。その目的はどの会社でも同じなので、「どこで働こうが大差ない」のです。

結果的に、僕は会社を辞めてから、その知識や経験を活かしてライフネット生命を立ち上げることになりました。自分の「やりたいこと」や適性など考えずに始めた仕事でもそんなことになるのですから、人生はどう展開するかわからないものです。

もしかすると、他人の目には僕が「自己実現」を果たしたように見えるかもしれませんが、これは運と偶然の織りなす流れに身を任せた結果にすぎません。