セコい値上げをしなくても客が来れば儲かる
蛇足ながらつけ加えると、1984(昭和59)年時点で、ハンバーガーは1個120円である。71年の開業当時より40円値上げをしたが、これは決して昨今の物価高ムードに便乗して値上げをしたのではない。
私がマクドナルドを始めたとき、肉の原価は1個分45グラムで22円だったが、世界的な牛肉不足の問題がからんで、一挙に44円に値上がりしてしまったのだ。これに加えて、小麦粉をはじめとする諸原料、材料が値上がりし、人件費までも上がってしまった。
私はやむを得ず、原料の値上がり分だけ、値上げをした。原料の値上がりをいいことに大幅な値上げをして差額を儲けるような汚いマネはしていない。
そんなことをしなくても、お客さんがしっかり食べてくだされば、ひとりでに儲かるからだ。
ファストフードがインフレに強いワケ
文化が向上してくると牛肉の需要がふえる。人間が一番うまいと感じる肉は牛肉だからである。
第二次世界大戦から30年近い年月が経過したが、この間、世界的な大戦争もなく、世界的な好況が続いて、人々の生活は向上し、したがって、牛肉の需要が全般的にふえてきた。
従来は牛肉の輸出国であったアルゼンチンも国内需要が高まったため輸出をしなくなったし、牛肉の主産地であるオーストラリアでも、需要の増加から価格の上昇を招来し、値段もひところの2倍程度に上がっている。
ハンバーガーのようなファスト・フードはインフレーションに強い産業である、と言われている。資材の値上がりをはじめ、さまざまな問題に直面していることにかわりはないが、それでもなお、そうした諸問題を吸収し、克服して行くことができるからだ。驚異的産業であることに違いはない。



