ビジネスの場面では使わない方がいい言葉がある。心理学者の三宮真智子さんは「言われた相手が迷ってしまう『間接的拒否』の表現だ」という――。(第1回)

※本稿は、三宮真智子『なぜ、あなたの話し方は誤解されるのか』(大和書房)の一部を再編集したものです。

向かい合って話をする2人の人物
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「大丈夫」はYESなのかNOなのか

大阪には、名物のたこ焼きを売るお店が、あちこちにあります。

次は、そこでの会話。

たこ焼き屋の店員さんから、「マヨネーズ、おつけしますか?」と聞かれたあなたが、思わず「大丈夫です」と答えた時、店員さんはたこ焼きにマヨネーズをつけるでしょうか? それともつけないでしょうか?

このような場合、「大丈夫です」は、「つけても大丈夫です」「つけなくても大丈夫です」のどちらの意味にも解釈されます。たこ焼き屋の店員さんが、「お客さんは、きっとマヨネーズをつけてほしいだろう」と考えていれば、「つけても大丈夫」と受け取るでしょう。

しかし、「つけてほしくないだろう」と考えていれば、「つけなくても大丈夫」と解釈する可能性が高くなります。通常は、つけてほしければ首を縦に振り、つけてほしくなければ首や手を横に振るといった動作をすることが多いので、それが手がかりになります。

でも、店員さんはたこ焼きをひっくり返すのに忙しくて、お客さんの動作まで見る余裕がないかもしれません。

褒めたつもりが失礼になる言葉

このように、飲食店の店員さんからの問いかけにお客さん側が答える際には、「大丈夫です」「いいです」といった言葉がよく用いられますから、誤解も多くなります。

誤解を防ぐためには、「マヨネーズをつけますか? つけませんか?」などと、わかりやすい質問をするとよいでしょうし、答える側も、「つけてください」「つけないでください」など、はっきりと答えることで意思表示が明確になるでしょう。

他にも、紛らわしい言葉として「ヤバい」があります。あなたが上司のお宅に招かれて、手料理など振る舞われた際に、「ヤバいっすね、この味!」と言ったらどうでしょう?

もちろん、あなたはほめ言葉として「すごく美味しいです!」と伝えたかったはずです。でも、上司ご夫妻がたまたま、そうした言葉の使い方に不慣れであった場合、どう受け取られるでしょうか?

実は、「ヤバい」という言葉は、「危険だ」「不都合だ」というのが本来の意味でした。それがいつの間にか、「すばらしい」といったポジティブな意味合いで用いられるようにもなったのです。

しかしながら、若い世代であっても、この言葉がネガティブな意味で使われることもあり、実に紛らわしい表現だと言えます。