「過去の成功パターン」に執着して、頭が固くなってしまう。「昔はこうだった」というプライドや経験則から離れられない。その結果、周囲の人がドン引きしてしまったり、新しいチャレンジに目がいかなくなる。過去の成功体験にこだわっている人が成功する確率は、そうでない場合に比べて低い。
もちろん、成功体験から学ぶこともたくさんある。何よりも、自分はできるんだという自信にもつながるし、自己肯定感も持てる。脳科学的には、「小さな成功体験」から始めるのは常に正しい。社会に出てまだ間もないビジネスパーソンならば、成功体験を持つべきだし、それを自分の支えにすべきだ。
問題なのは、ある程度キャリアを積んで、周囲からの信頼も得ているような方が、過去の成功体験にこだわって結果として失敗してしまう例である。そのようなケースが生じる理由はいくつか挙げることができる。
まず、時代の変化がある。言うまでもなく、今は人工知能やグローバル化などの進展によりビジネス環境が激変している。過去の経験にこだわっていては、新しい状況に適応できない。常に、軸足を中心に方向転換する、ピボットが必要なのだ。
また、転職したようなケースでは、そもそも前の会社と業態やチーム編成、企業風土が違うのに、そのことに気づけない場合もある。とりわけ、前職が世間的に評価の高い会社だったり、知名度があったりすると、そのことをプライドに感じて、結果としていつまでも古い自分を捨てられないというのはよく聞く話だ。
昇進して役職が変わった場合なども、立場の違いを仕事に反映できない人の事例を目にする。例えば、チームの若手としてバリバリ働くのと、管理職として全体を見渡して、人にある程度仕事を任せるのでは、課題の内容が全く違う。それにもかかわらず、自分も一人のプレイヤーであるかのようにふるまうことで、結果としてマネジメントに失敗してしまうことも多い。
このように、過去の成功体験にとらわれて失敗するケースに共通するのは、仕事を成り立たせている「変数」が違うのに、その変化に気づかないということである。仕事は複雑系であり、簡単には予測できず、「1+1が2」にはならない。にもかかわらず、そのような複雑な状況に適応できない結果、失敗してしまうのである。
ところで、過去の成功体験にとらわれて失敗してしまう理由として、世間では案外見過ごされている事情があることはご存じだろうか?
それは、ずばり、「成功した理由」として本人が認識していることが、多くの場合間違っているということである。
仕事が成功するか、失敗するかは、多くの要因によって左右される。その時々のマーケットの動向や、投入される商品、サービスの性質、さらには同業他社の出方によって、成功するか、失敗するかが変わっていく。
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