生涯にわたるライフプランを考えたとき、お金は当然重要である。貯蓄や年金の額や、最近注目される投資も大切だけれども、可能な限り「長く働き続ける」こともまた、有効な要素となる。つまり、お金の「ストック」だけでなく、「フロー」も増やす施策である。

死ぬまで楽しく働き続けるには、心と体の両方のコンディションを整える必要がある。

私自身、現在63歳だけれども、おそらくあと20年は働き続けるのではないかと思う。世間的にいえば定年とかそういうことを言われる年代なのかもしれないが、そもそも生物学的年齢で自分や他人を判断するという習慣がない。脳科学の視点から考えても、一生働き続けることは十分に可能だ。

働き続けるために必要なことの一つは、あまり無理をしないことである。ここでの無理は、時間的なこと、体力的なことだけでなく、心の持ちようも含まれる。良い意味で「いい加減」なほうがいいのである。

例えば、アメリカのトランプ大統領は現在79歳だが、政治的な立場の賛否は別として、元気で働き続けているという事実は誰もが認めることだろう。憲法上認められる可能性は低いけれども、本人は3期目以降も大統領を続ける気が満々であるようだ。

トランプ大統領には、「いい加減」なところがある。少なくとも、四六時中しかめっ面をして、天下国家のことばかり考えているわけではない。演説会やパーティーなどではしゃいでいたり、つい自慢してしまったりするときのトランプ大統領は、明らかに肩の力を抜き、リラックスしている。

みなさんの周囲を見渡してみても、何歳になっても仕事を続けている方の中には、トランプさんのように良い意味で「ゆるい」方が多いことに気づくはずだ。私自身、一人で仕事をしているときの集中度は自分で言うのも何だが凄まじく、短時間で良質のパフォーマンスをするように心がけている。一方、友人と懇談したり、会食したりするときには、基本的に「へらへら」している。冗談ばかり言って、あまり真面目な根を詰めた議論などしない。

負荷をかけて学習をしたり、新たなスキルを得たりする際には、真剣に、そして集中してやる必要がある。しかし、人間の脳にとって何よりも大切なのはバランスである。脳の元気は「消耗品」なのだ。過度の負荷をかけたり、ストレスをためたりすると、その分、生理的なダメージが蓄積して脳の元気がなくなり、認知症などの問題にもつながりやすい。

社会の中での自分の立ち位置を工夫することも重要である。

年を重ねても元気で働き続けるコツの一つは、現場から少し距離のあるポジションに身を置くことである。「切った張った」の真ん中に飛び込んで揉まれるのではなく、むしろ少し離れて観察して、必要なときにだけポイントをついた動きをする。そのような働き方ができると、心身を無駄に消耗しなくて済む。

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