世の中には、才能や努力だけでは説明できない「運」がいい人がいるように思われる。野球の大谷翔平選手もその一人だろう。

もちろん、大谷選手が突出した才能を持っていることは疑いない。その身体能力は、短距離走のアスリートとしても、サッカーの選手としても大成功しただろうと評価される。そんな素質を持った人が、たまたま野球を選んでくれたとも言われるのである。

また、大谷選手が、絶え間ない努力を重ねている人であることも間違いない。シーズンオフや試合前の大谷選手のトレーニングや自己研鑽の姿勢は人々を感動させる。その結果として、大谷選手は一流のプレイヤーになった後も、進化し続けている。努力を続けている一つの証拠だろう。

それでもなお、「史上最高」とも言われる大谷選手のパフォーマンスの目覚ましさの中に、とびっきりの「運」の良さを感じる人も多い。大谷選手の周りで、大谷選手の凄さを支えるさまざまな要素が、いわば「奇跡的な巡り合わせ」のように揃っているのである。

例えば、高校からすぐに大リーグに挑戦したいと思っていた大谷選手を、敢えてドラフト会議で1位に指名し、わざわざ大谷の大リーグ挑戦をどうサポートするかの長文の文章を用意してくれた日本ハム、そして栗山英樹監督(当時)。さらには、常識はずれとされた「二刀流」も支持してくれた。

大谷翔平選手のような運の良さを手に入れるために必要なことは、さまざまな要素にまんべんなく目を配ることだ。
写真=時事通信フォト
大谷翔平選手のような運の良さを手に入れるために必要なことは、さまざまな要素にまんべんなく目を配ることだ。

大リーグに渡っても、エンジェルス、ドジャースと大谷選手の特性を理解し、起用してくれる球団にめぐまれた。ドジャースのロバーツ監督は母が日本人で自身も日本生まれ。大谷選手との相性も良く、力を合わせてワールドシリーズ2連覇を達成した。

プライベートでも、真美子夫人や、愛犬のデコピンなど、大谷選手の挑戦を支え、人生を豊かにしてくれるさまざまな素晴らしい周辺環境に恵まれているように見える。

このように、大谷選手は、才能や努力に加えて、多くの「運」にも味方されているように思われる。現在、私たちが目にする最も「運」の良い人の一人が大谷選手なのかもしれない。

このような大谷選手の「運の良さ」は、科学的にはどのように説明できるのだろうか?

現代の科学において最も重要な考え方の一つが「複雑系」である。どんな人生も、さまざまな要素の影響を受けており、一つのやり方や考え方だけで成功を続けることは難しい。アマゾンの密林の中で蝶がどのように羽ばたくかによって、テキサス州で発達するトルネードが左右されるという「バタフライ効果」に象徴されるように、小さな変化が思わぬかたちで大きな影響を与えることもある。

(写真=時事通信フォト)

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