思考運
いやな出来事を「ポジティブに解釈」する

なぜ、悩み多き人は「運を逃す」のか

運をつかむには、行動の母数(試行回数)を増やすことで、偶然いいことが起こる確率を高めていくことに加えて、「いいこと」をキャッチできる心理状態であることがきわめて重要です。

堀田秀吾(ほった・しゅうご)
堀田秀吾(ほった・しゅうご)言語学者(法言語学、心理言語学)。明治大学教授。司法分野におけるコミュニケーションに関して、言語学、心理言語学、脳科学などの知見を融合した研究を展開。近刊の『科学的に証明されたすごい習慣大百科』(SBクリエイティブ)が5カ月で40万部のベストセラーに。

ポジティブ心理学では、同じ出来事を前向きに解釈できる人ほど、運が開けやすいとされます。これは、シンプルに脳のリソース配分の問題です。ネガティブな感情や悩みがあると、脳はその対象に一点集中してしまいます。すると、それ以外の情報に対するセンサーがオフになり、周りでよい結果につながりそうなことが起きていてもキャッチできなくなってしまうのです。

逆に、リラックスしているときの脳は、特定の部位だけでなく、さまざまな部位が活性化して待機していることが、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)などを使った研究でわかっています。

脳が全方位にアンテナを張っているため、集中しているときにはこぼれ落ちてしまうような些細な情報や、ふとした「幸運のきっかけ」もキャッチできるのです。

そこで今回、私が提案したいのは、こうした「運をつかむ心理状態」をつくるためにAIを活用することです。

「幸運のきっかけ」に対してオープンになれる

いやなことがあったとき、無理にポジティブになろうとしても難しいものです。そんなときに使いたいのが「リアプレイザル(捉え直し)」という心理テクニック。起きた出来事に対して別の解釈を与えることで、感情をコントロールする方法です。

例えば、あなたが部下との関係に悩んでいるマネジャーだったとします。

ちょっとしたことで注意したら、その後の関係がどうもギクシャクしている……そんなとき、普通なら「嫌われたかな」と思ってしまうところですが、ここでAIにこう尋ねてみましょう。

「あなたは一流のポジティブ心理学者です。以下のような状況で、どのような捉え直し(reappraisal)を行いますか? 具体的な文言で20挙げてください。状況:~~~(具体的に記入)」

するとAIは、「部下の沈黙は拒絶ではなく、指摘を受け止めている途中」「構えた態度は反発ではなく、慎重になっている表れ」など、自分では思いつかなかった解釈をいろいろ教えてくれます。

(構成=藤田美菜子)