健康診断の結果をどのように受け止めるかは身近な関心事だろう。

そもそも、健康診断を受けるのが嫌で、なんとはなしに避けている、受診を先延ばしにしているという人もいるかもしれない。一方では、職場で義務付けられている人も多く、気は進まないけれども仕方なしに受けているという話も聞く。

私自身は、定期的に健康診断を受けていて、その結果に基づいてお医者さんからのアドバイスを受けている。幸い、今のところ大きな問題はないけれども、やはり、体重が少し多めなことなど、気になることはある。

予防医学という観点から見れば、健康診断を受けない理由はない。自分の体のコンディションについての貴重なデータを、最新の医療テクノロジーを用いて知ることができるのだから、ありがたいことである。

ただ、健康診断の受け止め方は人さまざまである。同じ結果でも「よし頑張ろう」と思える人もいれば「もうだめだ」と落ち込む人もいる。極端なことを言えば、健康診断の結果を気にしすぎて不健康になってしまった人の話も耳にする。

たかが健康診断、されど健康診断。健康診断を前向きに生かすにはどうすればいいのか? 健康診断の生かし方を考える際に重要なポイントは、まず、「知識」と「行動」の関係にある。

健康診断は、受けたほうがよい。自分の体の状態を知ることができるし、重大な病気の早期発見や治療につなげることができる。そのような「知識」は持っていたとしても、なかなか健康診断を受けたり、その結果を率直に受け止めるといった「行動」につながらない。このように、知識と行動は人間の脳においてはしばしば乖離する。

その極端な例が、「医者の不養生」だろう。定期的な健康診断の大切さをよくご存じのはずのお医者さんの中で、受診をさぼっている方がいらっしゃる。実際、ドクターと雑談していると、「いやあ、仲間に受けていないやついますよ」と耳にする。

私の身近で言えば、解剖学者で東京大学名誉教授の養老孟司さん。養老先生と知り合ってもう二十数年になるが、「いやあ、茂木くん、ぼくは健康診断受けないんだよ」と笑っていらした。

その養老先生も、ご自身の体調がおかしいと思って、受診されたら病気が見つかった。幸い、治療されて良くなった。養老先生のような卓越した知識をお持ちの方でも、受診するという行動になかなか結びつかない。

(写真=iStock)

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