チャットGPTのような生成AIの活用法として、検索の「先」を求めるということがある。これまでは検索結果のサイトを一つひとつ自分で読み、全体としての情報を理解していたのが、人工知能が分析と統合の部分を自動化してくれる。それで大幅に時間が節約でき、仕事の効率も上がることは事実である。
一方で、AIに「人生相談」をする人も多い。自分の悩み、迷っていることについて、AIに質問することで、頭を整理できるし、有益なヒントをもらえると考える人が増えている。
実際、AIに人生相談をすることのメリットは多い。人間相手に相談すると、迷惑をかけるかもしれないし、また、内容によっては自分の気持ちを吐露するのが憚られる。AIならば、そのような遠慮は要らない。
AIに質問をしてやりとりすることで、自分の頭の中が整理されるということもある。人間に相談するときにも起こることだが、相手から与えられた情報と同じくらい、自分の中での思わぬ気付きや、感情の動きが意味を持つ。
また、最近のAIは、人間とのやりとりで得た情報をきちんと文脈(コンテクスト)として維持し、それに合わせたアウトプットをしてくれる。自分に関する対話をすればするほど、それを「記憶」していて、ぴったりの回答をしてくれるのである。
人間の記憶はいい加減で、言ったことをすべて覚えているわけではない。友人と話していて、いろいろと自分のことを打ち明けたのに、相手がきちんと聞いていなかったり、忘れていてがっかりした経験は誰にもあるだろう。
また、自分の相談をしていたはずが、いつの間にか友人自身の愚痴を聞かされていたり、偏った人生経験の中での思い込みや決めつけに基づくアドバイスをされたりして、困ってしまったことがある人も多いと思われる。
このような状況の下、「もう人生相談はAIだけでいい」と思っている人もいるのではないか。これからの技術開発のテーマとして、「AIによる人生相談」が重要なことは事実だし、AIにさまざまなことを相談する動きが加速していくことも確実である。
しかし、言うまでもなく、AIは万能ではない。AIを人生相談に用いることは大いに結構だが、同時に、「AIに悩み相談する人の落とし穴」があることにも留意する必要がある。
まず、現在のAIは、人間のように生きているわけでもなく、さまざまな経験があるわけでもないことに注意しよう。AIは、過去に人間が書きこんできた情報を学習し、統計的に処理して「もっともらしい」回答をしているだけである。そこには、人間と人間の間の共感や、回答者の人生からにじみ出る叡智のようなものはない。
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