現代人が気分良く働くためには、体のバランスを保つことがとても大切である。その際にポイントになるのは、いつも上機嫌でいることである。
今日において、さまざまな課題は、いくら取り組んでもなかなかゴールしない。終わりのない努力をしなければならないけれども、上機嫌でいないと努力に持続可能性がない。
嫌々ながら仕事をしていると、つい無理してしまうし、ストレスもたまってしまう。一方、ご機嫌で仕事をしていると、とにかく毎日が楽しいし、努力も続けることができるのである。
これまでの日本では、ともすれば仕事はつらいのが当然だと思われたり、真面目な顔をして取り組んでいる人が頑張っていると評価されたりしていたけれども、これからは、「ご機嫌スイッチ」を持っている人がもっと評価されなければならないだろう。変化の激しい現代。ご機嫌だからこそ、努力を続けることができるのだ。「『ご機嫌スイッチ』を持っている人は、なぜ強いのか」。この秘密を知っている人が、これからの時代に輝く。そして、ポイントは案外簡単で、誰でも実行することができる。「ご機嫌スイッチ」を持っている人は、特に、IT系の創業者や経営者に多いように思う。北陸出身で事業を起こし、多角的な分野ですぐれた業績を上げているDMM.comグループ創業者の亀山敬司さんは、いつお目にかかっても、まるで夏休みの小学生のように上機嫌である。変化の激しい時代に、ずっと走り続けられているのは「ご機嫌スイッチ」を持っているからだと思う。
亀山さんがご機嫌なことで、若手起業家も自分のアイデアを話しやすくなる。亀山さんにさまざまな事業の構想を「ピッチ」する人がたくさんいるのは、ご機嫌に聞いてもらえるから話しやすいのだろう。自然、亀山さんの目も肥えていくし、会社の業績も伸びる。
インターネットの広告事業で急成長したサイバーエージェント社長の藤田晋さんもまた、「ご機嫌スイッチ」を持っている。機嫌良く事業に取り組むことで、新しい成長分野で継続的な努力が可能になる。
とりわけ、サイバーエージェントとテレビ朝日が出資して設立されたAbemaTVは、赤字が続いているが、未来への先行投資として努力を継続しているのは、「ご機嫌スイッチ」の効果だといえる。未来に対して楽観的でなければ、チャレンジはできない。AbemaTVのユーザー数は伸びており、赤字幅も縮小して、軌道に乗ってきているようだ。「ご機嫌スイッチ」を持っていると、努力を続けやすいし、他人から見ても話しやすく、アイデアが集まってくる。また、楽観的に新しいことに挑戦できるので、大きな成長分野に投資することもできる。
脳の働きとして、「ご機嫌スイッチ」はどのようにメンテすればいいのだろうか。第一に重要なのは、前頭葉を中心とする「解釈」の回路である。同じ状況でも、それをポジティヴに解釈することで「ご機嫌スイッチ」を押すことができる。ネガティヴに解釈すると、負のスパイラルに陥ってしまう。
例えば、若手から相談を持ちかけられたり、アイデアを聞いてもらいたいと頼まれたときに、「面倒くさい」「時間が取られる」と思うのではなく、「新しい発想に触れるチャンスだ」と歓迎できる人は、「ご機嫌スイッチ」を持っているといえる。
また、いつも笑顔でいることも大切である。たとえ、作り笑顔でも、その表情筋の情報が脳にフィードバックされて、目の前の状況をよりポジティヴに解釈するようになることが研究の結果わかっている。本稿で取りあげた亀山さんも、藤田さんも、いつも笑顔が素敵である。さまざまな苦労があったとしても、「スマイル」でいることで、結果として前向きな気分になれるのである。
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