なぜ沈黙は怖いのか。脳は待つことが苦手だからだ。では、どうすればいいのか。

現代においては、コミュニケーション能力が大切だとはしばしば言われることである。しかし、そのことの本当の意味が、私たちはどれくらいわかっているのだろうか?

どうしても、つい、自分が相手に何かを伝えることを中心にものごとを考えてしまう。自己表現や、プレゼンの能力こそが大切だと思いがちである。

もちろん、考えていることをきちんと表すことは必要であるし、それでこそ発揮できる個性があることも事実である。その一方で、何かを言うことと同じくらい重要な技術、そして心構えがあることが見落とされがちでもある。

それは、「聞く」こと。相手の話に耳を傾けることは、コミュニケーションにおいて重要なことであるはずなのに、ついつい軽視されてしまう。とりわけ、ソーシャルメディアなどで声高に意見を主張する人たちが目立つ現代では、気をつけなければならない。

話し上手であることも大切だが、聞き上手であることも大いに助けになる。実際、聞き上手な人は、結果としてビジネスでうまくいくことが多い。

セールスパーソンが、話がうまくなくてはいけないというのは当然のこと。自分が売り込もうとしている商品やサービスの良い点を相手に簡潔にわかりやすく説明できなければ、仕事は始まらない。

その一方で、相手の話を聞くことが本質的な意味を持つことも確かである。聞き上手な人は、相手が求めていることや、その人柄を知ることができる。話をじっくり聞いてもらったということを通して、信頼を得ることもできる。結果として、聞き上手のセールスパーソンのほうが契約を取りやすいのだ。

聞き上手になるためには、「沈黙」を恐れてはいけない。相手が何かを話すまで、待つ心の余裕も大切である。ふだんの会話でも、「間」が効果的にはたらく場合があるけれども、現代人はどうしても沈黙に耐えられなくて、何か話そうとしてしまう。それでは、相手の本音を聞き出すことができなくなってしまう。

脳は「待つ」ことが苦手である。そして、待つことは、脳の機能を高め、認知能力を上げる。待つためには、前頭葉の回路が効果的に働かねばならず、前頭葉を鍛えることで、人生の他のさまざまな局面におけるパフォーマンスが上がっていくのだ。

子どもが、目の前の好物(たとえばマシュマロ)を食べるのを我慢すると、後で沢山もらえるという条件の下でどう振る舞うかという「マシュマロ・テスト」では、食べるのを我慢した子どものほうが、その後の人生でさまざまなことがうまくいく確率が高いと報告されている。

(写真=iStock.com/mapo)

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