人間が発想できる上限は2500個
AIがいくら賢くなったところで、創造性は人間だけのものであり、AIには代替されない――。もしそう考えているなら認識が古すぎます。すでに2年前の時点で、生成AIは人間の創造性を上回っています。
2023年8月、フィンランドとノルウェーの研究者が人間の集団と3種類のAIに創造性テストを実施した結果を「ネイチャー」に発表しました。それによると最高点は人間が取ったものの、集団の平均点はAIが上回りました。軽いクリエイティビティが求められる程度の仕事なら、すでにごく普通のビジネスパーソンよりAIに頼んだほうがいいものができるのです。
AIはさらに進化しています。24年春には人間とAIを見分ける試験「チューリングテスト」で驚きの結果が出ました。実験は、被験者がネットで人間1人とAIの2人でチャットをして、どちらが人間かを当てるというもの。研究者は「AIが進化すればいずれ見分けがつかなくなり、正解率は50%に達する」と考えていました。しかし実験の結果、被験者の73%が間違えた。つまりAIのほうが人間以上に人間らしい会話をしていたわけです。すでにこのレベルまで開発されているのですから、創造的な仕事にAIを活用しない手はありません。
そもそもAIに創造はできないと誤解するのは、創造はセンスやひらめきの産物であって、論理的に導かれるものではないと考えているからでしょう。
しかし、その認識も間違っています。創造工学という学問領域があります。天才的な発想の持ち主は素晴らしいアイデアを軽々と生み出しますが、創造工学はその過程を小さな標準的なハシゴに分解して技法化。それを習得することで、普通の人も天才に近い発想ができるようになります。天才の発想法は型にはまらない部分もありますが、ある程度はスキルで再現ができます。
再現可能なプロセスにAIを活用すれば、人間だけで発想するときに比べて3つのメリットが得られます。
まず「量」の限界を突破できることです。ジェームス・W・ヤングは著書『アイデアのつくり方』で、「アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と指摘しました。アイデアが既存の要素の組み合わせだとすれば、理論的には組み合わせる要素の数が多いほどアイデアがたくさん生まれることになります。ただ、現実は違います。人間には「認知飽和」という特性があり、概念の数が40〜50を超えてくると、新しい概念を既存の概念の近いものと同一視して、新しい概念カテゴリーを形成できなくなります。つまり発想できる上限は50×50の2500個で、その中から最良のものを選ぶしかない。
一方、生成AIに認知飽和はありません。人間が考えるよりずっと多くの要素やアイデアを出せます。
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2つ目のメリットとして、要素を一瞬で結合できる「効率」の良さがあげられます。人間は創造するとき、意識されたものから無意識の言語化されていないものまで一つの鍋に入れ、概念のスープを混ぜ合わせるようにして要素を組み合わせて発想します。うまく混ざってすぐアイデアが出ることもあれば、混ざるまで時間がかかって生みの苦しみを味わうこともあります。
企画のキーコンセプトを考えるときなど、本当に重要な部分を構想するときには時間をかけてもいいでしょう。しかしビジネスではいつも100点の発想が求められるわけではありません。「60点でいいから今日中に欲しい」というように、むしろ効率重視でアイデア出しをしなければいけない場面が多いはずです。その点、AIは2秒とかからず結合をしてくれる。このタイパの良さは大きなメリットです。
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