サッポロビール社長 
尾賀真城氏
──上期はどうだったのか。下期をどう戦う?

【尾賀】前年実績を上回り、上期はまずまずで着地できた。市場全体は縮小しているが、当社はプレミアムビール「ヱビス」が牽引してくれているのが大きい。6月には第3のビールの新製品「極ZERO」を投入したが、滑り出しは好調。上期の調子を維持しながら、新製品で下期に勢いをつけたい。上期にシェアアップしたのは、サントリーと当社。製品や地域戦略などで取り組んできた選択と集中が、好結果に結びついてきたと思う。

──サントリーに抜かれたのが08年。いつ、逆転を狙うのか。

【尾賀】来年にはキャッチアップする、と言いたいが、言えば自分たちを崩してしまう。まずは、当社のやるべきことを、キチンとやっていく。いま、サントリーには勢いがある。が、いつかは逆転をしたい。

──セブン&アイHDのPBビールをサッポロは生産しているが、ビール業界は流通の軍門に下ったのか。

【尾賀】そうは思っていない。完全なPBではない。「SAPPORO」と名前が入っている。委託製造して先方のブランドだけで展開するなら完全なPBだが。

──とはいえ、工場の稼働率は上がり広告宣伝が要らないなど、メリットもあるのでは。

【尾賀】それはある。新商品開発では、大手流通と組んでみて、我々にとっては刺激にもなっている。流通から要請されれば何でも引き受けるのではなく、数量や考え方で一致したときにだけ、やっていく。現実に売れているので消費者に支持されているのは事実だが、完全なPBをやるつもりはない。