──上期をふり返り、年末までの後半戦をどう戦うのか。
アサヒビール社長 小路明喜氏

【小路】「スーパードライ」が好調。昨年からブランド資産の最大化に、私たちは取り組んでいて、奏功したと思う。「ドライブラック」を発売した昨年は8年ぶりに前年の販売量を超え(0.3%増)、「ドライプレミアム」発売の今年も超えていきたい。新商品を次々に投入するのではなく、既存商品のブランド資産を生かす経営でいく。

──スーパードライ発売の1987年以来、アサヒは変化を志向しながら15年かけて業界トップになった。が、いまはドライを守ることばかりで変化を恐れているのでは。ラガー死守で敗れたかつてのキリンと重なるが。

【小路】アサヒはドライのブランドエクステンション(拡張)を行うなど挑戦している。守りに入るとブランドは陳腐化し、魅力は失せていく。

──ドライをリニューアルするのか。

【小路】これからの課題だ。まずはブランド資産の最大化に取り組む。日本の消費者は、商品の新しい面をいつも望んでいる。

──ドライ発売前のアサヒには、一騎当千の営業マンが多数いた。昼からストリップ劇場に入り浸り、仲よくなった踊り子たちを動員し市内中の飲食店のビールをアサヒに替えたという伝説もある。最近はカリスマ的な営業マンが減ったのでは。

【小路】私もそういう人たちの中で育った。が、もう時代が違う。いまのアサヒにはスターは要らない。組織プレーができる営業マンであるべき。社内の専門部隊と連携してほしい。私は、「意思決定のスピード化と最適化」「課題解決型営業」を営業部隊に掲げている。特に、今年1月、店頭販促を行うアサヒフィールドマーケティングの酒類部門をアサヒに統合した。量販チェーンなどお客様のニーズを我々経営層まで素早く汲み上げ、一方で本社の決定を瞬時に現場へ伝えるためだ。