空き家問題の本質は、「人の心の問題」
繰り返しになりますが、これだけ合理的に誰もが納得する計算ができるのに、空き家のまま放置するのは、家族の心が決まらないためです。
売却するのか、賃貸に出すのか、親族の誰かが使うのか……。家が古いからどうせ売れない、と決めつけている人もいます。
しかし、その結果、空き家が市場に出回らず、空き家を使いたい人たちがいるにもかかわらず、欲しい人のところに情報も物件も行き渡らないという状況になっているのです。
そうです。空き家問題の本質は、「人の心の問題」です。「誰に相談したらいいのか分からない」「面倒くさい」ために、せっかくきれいな家なのに、何年も、ときには10年も20年も放置している家すらあります。所有者さんが空き家をどうしたいかという意思が定まらずに放置しているために、「世の中に空き家が出てこないのが問題」なのです。
空き家はたくさんあり、買いたい人もいっぱいいる。それなのに、所有者さんが手放す動きをしないために、売る物件がないといういびつな現象が起きているのです。その現状を変えるためにも、僕は「そのまま何年も放置しておくのだったら、誰かに使ってもらいましょう」と、所有者さんの背中を一押ししたいのです。
人が住むことで、家の物語は続いていきます。雨戸を閉めたままの家が点々とある状態は、街の物語を分断させてしまいます。街を悲劇的な状態にしないためにも、空き家はそのままにせず、次に住む誰かにつないでいきましょう。