千葉県郊外で「30坪2500万円」といった格安の新築戸建てが増えている。「限界分譲地」を取材するブロガーの吉川祐介さんは「そもそも住んではいけない場所なのに、土地の安さから開発が進んでいる。50年ほど前に開発された近隣地は、ほとんど人が住まない『限界分譲地』となっていて、それを繰り返す恐れがある」という――。

限界分譲地に新築住宅が建ち始めた

不動産の価格を決める要因は、何よりも立地条件と利便性である。その他、需給バランスに左右される面もあるが、その需要を決めるのも結局は立地条件である。

ところが近年は、建築資材の高騰によるものなのか、都市部ではマンション価格も含めた不動産の価格が上昇傾向にある。その影響が郊外まで波及しているのか、公示地価は例年通り下落している地域ですら、住宅価格が上昇する奇妙な現象がみられるようになった。

新築価格が高騰すれば当然中古住宅のニーズも高まるわけで、不動産会社は、以前ほどは弱気の売り出し価格を提示する必要がなくなっている。買い手はある程度の価格で妥協しなければ購入することもできない。

筆者は主に千葉県北東部の「限界分譲地」を取材の対象にしている。今ではバス路線も途絶しつつあるほど利便性が低下したエリアで、調査を始めた7年ほど前から新築どころか、築10年未満程度の家屋もほぼ見かけなかった。

しかし、最近は新築工事を見かける機会がたまにある。例えば、5年ほど前から急激に新築家屋が増えた成田市倉水の分譲地が挙げられる。

新築家屋が近年急増した成田市倉水の分譲地。元々は大半の区画が長年放棄されていた住宅地であり、新築家屋が並ぶその裏に、今でも管理不全の空き地が残る。
筆者撮影
新築家屋が近年急増した成田市倉水の分譲地。元々は大半の区画が長年放棄されていた住宅地であり、新築家屋が並ぶその裏に、今でも管理不全の空き地が残る。

資材価格が高騰する中、もはや予算を抑えられるのは土地価格しかない。現在販売されている新築住宅は、建物面積が30坪で、総額は2500万円ほどのものが一般的だが、新築家屋はどちらかと言えば建物面積より敷地面積の広さが重視される傾向にある。自家用車がほぼ唯一の移動手段である地域では、敷地内に駐車スペースがどれだけ確保できるかという点が重要な判断基準になるからだ。

いくら利便性が良くても、土地が狭いのではどうにもならない。準備できる予算が変わらないのであれば、多少の利便性を犠牲にしてでも、駅からも市街地からも離れた分譲地の土地を選ばざるを得ない。

例えば、千葉県芝山町の新築住宅は駅から徒歩99分。約245平米の土地、約100平米の2階建て住宅が2100万円で売り出されている。利便性の良くない住宅地だが、敷地面積の広い住宅地の供給が限られているため、昨今は盛んに新築用地として利用されているのが現状だ。