千葉県内にある「1坪1万円以下」というだれも買わない格安分譲地に、購入希望を出した人がいる。「限界分譲地」を取材するブロガーの吉川祐介さんは「知人が購入希望を出したところ、すでに売約済みだった。詳しく調べてみると、その土地は詐欺事件の舞台になっていた」という――。
上水道はあるのに電柱は1本もない
筆者のように不動産に関する情報発信を生業としていると、しばしば読者の方やSNSのフォロワー、時には知人より不動産の売買についての相談を受ける。ほとんどの場合は、親族から相続した、あるいは近い将来相続することになる無価値な「負動産」の処分についての相談だが、まれに限界分譲地を購入したいと相談を受けることもある。
3年ほど前、そんな購入希望者の一人である知人のA氏より、千葉県茂原市弓渡のある分譲地について相談を受けた。そこは家屋が1戸もない事実上の放棄分譲地だが、いくつかの区画は今も地主が業者を手配して草刈りなどの管理を続けており、そのうちの1区画を、地元の仲介業者が売地として広告を出していた。
しかし、その売地のある分譲地は、道路が舗装され、上水道が引かれているにもかかわらず電柱がない。これは放棄分譲地ではよくある。家屋の建築は法的には可能だが、電柱がないのでは工事も始められない。
そのためであろう、おそらく分譲当初の価格は数百万円に及ぶと思われるこの40坪の売地は、30万円という捨て値で広告に出されていた。
「41坪30万円」の分譲地を問い合わせてみると…
そこで、A氏はその安さから興味を抱き、広告掲載主の不動産会社に問い合わせたところ、すでに売却済みであるとの返答を受けたという。売却後も誤ってその広告を取り下げないまま放置してしまうのはよくあることだ。