そもそもスマホは人間がラクをするために作られている

そもそも機械とは何のために作られたかというと、人間がラクをするためです。ラクをする、すなわち時間と労力を肩代わりしてくれるものに対して、私たちは便利であると感じ、対価を支払います。スマホを開発する側の技術者の方たちに【図表1】のグラフを見せたら、逆に大喜びしてくれることでしょう。人間の脳に負荷をかけないことが、スマホが便利な機械であることの証明になるわけですから。

私たちの脳は負荷がかかって初めて活動し発達していきます。人間にラクをさせるために作られた機械を使って、脳に負荷をかけるべき作業である勉強をするというのは、本来の目的と真逆のことを強いているのです。

私たちの脳は負荷がかかって初めて発達する

榊浩平(著)、川島隆太(監修)『スマホはどこまで脳を壊すか』(朝日新書)

「ラクして稼ぐ」「ラクして痩せる――私たちはそんな見出しへすぐに飛びつきます。一方で、そんなうまい話はないことにも、薄々感づいているわけです。「ラクして脳を鍛える」こともまた、ありもしないうまい話の見出しに過ぎないのです。

「ラクをするな、頭を使え!」

昭和生まれの大学教授がこう言うと、古臭い考え方だと非難されるかもしれません。でも私は違います。平成生まれ、ゆとり世代の若手研究者です。危機感の強さに気づいてくれる方が少しでもいてくだされば、私が研究成果を発表した意味があったと思えます。

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