中学入試の目標は「満点をとること」ではない
ただし、中学入試では満点を目指す必要はない。過去問のふり返りの目処は合格者平均点だ。満点答案を作るように指導する塾もあるようだが、そこまで深追いすることはない。また、合否判定テストのふり返りでも深追いは禁物だ。問題ごとの正答率を見て、中堅校であれば正解率50%、難関校であれば30~40%の問題は確実に解けるようにし、正解率の低い問題は捨てる勇気を持つことだ。
苦手単元については、何度も解かせて定着させるのではなく、どのように学習すれば理解できるようになるかを考えてみてほしい。例えば算数なら、「問題文をきちんと読んでいるか」「図形問題だったら、自分で図を書き起こしてから問題に取り組んでいるか」といった具合だ。また、ミスが多い場合は、「殴り書きになっていないか」「焦って勉強をしていないか」といった注意も必要になる。
そして、何よりも大事なのは、納得して理解できているかどうかだ。図形問題を解くときは補助線を書くというのは塾でも教わるが、なぜそれを使うのか納得できているか(きちんと自分の言葉で説明ができるか)確認が必要だ。こうした指導は塾ではしないことが多いし、親では難しい場合もある。そんなときは家庭教師など第三者の力を借りるといいだろう。直前期を迎える前のこの時期に、納得を大切にした学習ができているかどうかが、最後の伸びにつながる。
問題集は目的に合わせて活用する
受験指導をしていて、近年、特に親からよく聞かれるのが、「何をやらせればいいですか?」という質問だ。だが、こうした質問をする親に限って、すでにいろいろなことをやらせすぎていることが多い。しかし、これまで何度も言ってきたように、勉強は「量」ではない。子供の勉強で不安を感じたら、「量」ではなく、「やり方」を見直してほしい。
私は中学受験の勉強は、基本的に通っている塾のテキストや問題集をやれば十分だと考えている。プラスアルファで問題集を与えるのであれば、目的を持って利用することだ。例えば図形の立体問題が弱いと気づいたなら、それが充実している問題集を選ぶ。とはいえ、親がどの問題が適しているか判断するのは難しいだろう。そんなときは、信頼できる塾の先生に相談してみるといい。ただ、6年生のこの時期は、先生たちも忙しい。日ごろ、塾に丸投げで、いきなり相談を持ちかけてみたところで、親身に対応してくれるかどうかは疑問だ。やはり、日ごろから塾の先生とコミュニケーションを取り、良好な関係を築いておくことが大切だ。
入試本番まであと3カ月、志望校に合格することを目標に絞り、合格点に達するための勉強をしてほしい。学習の「量」で親が安心するのではなく、納得感を持たせた学習を心がけ、「あなたなら大丈夫よ」と子供に安心感を与えてあげてほしい。この限られた期間で、あとどれくらい伸ばしていけるか。親の力も試される。