「4年生の成功体験」にとらわれてはいけない

そのことを知らずに勉強量を増やしてしまうと、成績が伸びないばかりか、勉強がつらいものに感じてしまう。中学受験の勉強は小学4年生から6年生の入試本番まで、3年間かけて準備を進めていく。4年生のうちは通塾が2~3日と少なく、習う内容も基礎が中心のため、それほど難しくはない。時間的な余裕も、心の余裕もあると、「もっと勉強をさせてもいいのではないか」と考える親がいる。そういう親は、4年生のはじめからたくさんの問題集を与えてしまう。そこで良い成績が出ると、それが成功体験となって、「たくさん勉強をさせると成績が上がる」と思い込んでしまうのだ。

黒板と電球
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だが、5年生になると、塾での勉強量が一気に増え、内容も難しくなる。宿題を終わらせるだけでも困難な状況になり、宿題の取捨選択が必要になる。ところが、4年生の頃からたくさんの問題集を与えてきた親は、そのことに気づかない。宿題はやって当たり前、プラス問題集をやらせようとする。だが、それは明らかにやらせすぎだ。この時期の勉強はやみくもにやらせるのではなく、できていないところを補う学習が必要だ。苦手の原因は何か、どこまでは理解していて、どこから難しいと感じているのかなど、細かく点検をしていく。そうやって、苦手をつぶしていくのだ。

6年生に必要なのは「つまずき」を補うこと

6年生の9月から12月までは毎月1回、志望校の合格可能性がどれくらいあるかを見る模試が実施される。その結果を見て、「うちの子はやっぱり速さが苦手なんだわ……」「立体図形もできていないし……」と、子供のできていないところに目が行ってしまう。そして、もっとやらせなきゃとたくさんの問題集を買い集め、基礎からやらせようとする親がいる。そうやって、心配事を見つけては、学習範囲を広げてしまうのだ。だが、6年生のこの時期に、苦手の深追いをしてはいけない。

中学受験の最終目標は、志望校に合格することだ。模試の結果はある程度の目安にはなるが、そこにこだわりすぎてはいけない。この時期に重視するべきものは、過去問だ。志望校の過去問を解かせてみて、合格点を超えられるか。超えられない場合、何が原因なのか、どの単元のどんな問題が解けないのかなど見ていく。そうすると、ひとくちに「速さ」といっても、こういう問題のときは解けるけれど、こういう問題になると解けないなど、“つまずき”が見えてくる。それを補う学習をしていくのだ。