あえて道外に出ないのは全国レベルで戦うため
当社の「マルセイバターサンド」は現在、年間約6000万個を製造販売しております。当社の売上高のおよそ4割はマルセイバターサンドです。ですが、私どもは「量」を追ってはきませんでした。なにより、おいしいお菓子であるかどうかという、目には見えにくい「質」を創業時から守り、磨いてきました。ただ、それだけで長きにわたってお買い上げいただけるとも思えず、偶然としか言えない要素が多々あると思っています。
小田 文英(おだ・ふみひで)
六花亭代表取締役社長。1979年、北海道帯広市生まれ。2001年慶應義塾大学理工学部卒業後、高砂熱学工業東北支店の勤務を経て、04年六花亭(当時の社名は六花亭製菓)入社。09年9月より副社長として、経営企画に携わりながら製造管理を担う。22年4月から現職。
六花亭代表取締役社長。1979年、北海道帯広市生まれ。2001年慶應義塾大学理工学部卒業後、高砂熱学工業東北支店の勤務を経て、04年六花亭(当時の社名は六花亭製菓)入社。09年9月より副社長として、経営企画に携わりながら製造管理を担う。22年4月から現職。
1995年から2016年まで当社の第2代社長を務めた私の父、小田豊(現・六花亭食文化研究所所長)の時代は、マルセイバターサンドの販売が特に大きく伸びた時期でした。当時もいまも、当社は北海道内のみで生産工場と直営店舗の展開をしています。商品も会社も大きく成長した時期に、父が自問自答していたのは、「本当に全国の同業他社さんと戦えるお菓子のレベルたりえているのか」ということでした。全国に店舗や生産工場を広げるかという拡大方向の問いを何度も自分に投げかけた結果、答えはノーでした。全国へ広げるのなら、店舗でも工場の数でもなく、お菓子の質こそをもって打って出るべきではないのか、と。
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(構成=樽谷哲也 撮影=箕浦伸雄(小田氏) 写真提供=六花亭)


