外面を気にして子育てに手抜きができない母親はどうすればいいのか。上手に手を抜く子育てをする「ズル親マインド」を提唱する咲良ともこさんは「1人でラーメン屋に食事に行ってみるといい。『道端のうんこ』のように、誰も自分のことなど見ていないことがわかり、気が楽になる」という――。

※本稿は、咲良ともこ『ズルい親ほど子は育つ!』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

自宅で働く母と子供
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あなたの経験は「たったひとつの事例」でしかない

自分の知っている世界が、まるで誰にとっても「当たり前」だと思ってしまうことはありませんか。けれど実際には、それは「あなた」というたったひとりの経験にすぎません。自分だけの人生、自分だけの体験からできあがった「たったひとつのデータ」なのです。

たとえば「お箸はこう持つべき」「あいさつは誰にでもするもの」といった常識も、その多くが自分の身の回りの中で学んできたことにすぎません。

私たちは、小学校、中学校、会社、近所のママ友など、せいぜい200人ほどの人たちとの関わりの中で生きてきました。そこで得た経験を「日本全体の常識」かのように信じてしまいがちです。

けれど、それはたったひとり分の人生から得た感覚。言いかえれば、「小さな井戸の世界から出られずに生きている、カエル同士の中での当たり前」に過ぎないのです。

同じ経験をした人が周りにいそうに見えても、実際にはそうではありません。すべての人は違う価値観の両親、違う環境、それぞれの友人と過ごした経験からできています。

高校も出て大学も出て就職もして結婚もして――それでも「あなた」が経験したことは、「あなた」というたったひとりの人間の事例でしかありません。

東大卒が全員幸せとは限らない

たとえば、自分のバイト先にいる人を見て「こんな大人にさせちゃダメ」と思い、子どもを東大に行かせようとするお母さんがいます。

でもそれは、自分の経験からくる「こうなってほしくない」という強い思い込みにすぎないかもしれません。実際、「東大を出た人で幸せそうな人を見たことがあるか」と問われると、多くの人は答えに詰まります。

東大出身者が近くにいて、苦労もせず幸せそうな姿を見ているのなら、「東大っていいな」と確かに感じることでしょう。けれど現実は「東大生ってなんかいいよね」と、遠くからぼんやり憧れているだけ。

さらに、身近な“幸せそうではない人”が東大出身でない場合。

「やっぱり東大じゃないとダメなんだ」「高学歴じゃないと不幸になる」と、短絡的な結論を出してしまうこともあります。

つまり、「東大に行けば人生が安泰」という価値観は、そのお母さん自身の限られた経験や世界に根ざしたものであることが多いのです。