※本稿は、鈴木裕介『「心のHPがゼロになりそう」なときに読む本』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
ポジティブで精神的にも健康的な人を探しあてる技術
「自分はもっと頑張らなければダメだ」と決めつけている状態から、「自分はこのままで大丈夫」と感じられる状態までは、ものすごく距離があります。自分一人の力で「よし、今日から自分は大丈夫だ!」と急に意識を変えられる人はほとんどいません。
自分を肯定するためには、「自分を否定しない他人」が必要です。
人間は身近な人の思考や言動パターンを「取り入れる」ことによって変化していくため、自己肯定感が強い人の近くにいて影響を受ければ、その要素を段階的にインストールすることができるのです(逆もまた然りです)。
まずは「この人だったら、信頼できそう、否定的なことを言わなそう」と思えるようなポジティブで精神的にも健康的な人を探しあてることから始めましょう。この見極めは「技術」ですので、続けていけば必ず上手くなります。
そして、そういう人と関係が構築できたら、徐々に本心を伝えてみたり、頼ってみたりすることをやってみましょう。頑張っていてもいなくても、稼いでいなくても、態度を変容させずにふつうに接してくれる人というのが、成熟した大人です。
逆に「あなたのためを思って」とか言いながら、要求がましいことを言ってきたり、こちらの境界線を踏み越えてきたりするような人には注意が必要です。
心理療法家の水澤都加佐氏から引用した「一見、弱っている人に寄り添っているようでいて、まったく寄り添えていない人の発言リスト」を紹介します。次のようなことを言わない相手を見つけてほしいと思います。
②「泣いたってしょうがないよ」
③「誰でも多かれ少なかれ経験することだよ」
④「時間が経てば忘れるよ」
⑤「何かを一生懸命やりなよ」
⑥「君より、もっと大変な人もいるよ」
⑦「代わりのもので埋めなさい」
⑧「後ろばかり見ずに、前を向いて生きよう」
「そんな大人いるのかよ?」と思われた人もいるでしょうが、ちゃんと実在します(笑)。
その一方で、いい感じで悲しみを経験した人や、トレーニングを受けた心理職の方は、こうした発言の危険性をちゃんと理解していることが多いです。

