立食式のパーティで見知らぬ紳士と一緒になった。テーブルにあったワインの瓶を持ち上げ、にっこりと一言。

「こっちのワインがうまいですよ」

三木卓氏は、こうやって話のきっかけをつくるという。あるいは、

「今日はあそこに美人が来ていますね」

ビールを注いでもらいながら、会場の奥を見やったりする。

名刺を交換したら、相手の姓名を確かめて、

「おや、この名字は鹿児島ですね」

谷元、枝元など「もと」を元と書く姓は鹿児島など南九州に多いという。そのことをきっかけに、ふるさと談議に入れるのだ。

「もし違っていても、そうやって会話ができれば話がほぐれていきますね。もちろん、相手に付き合ってくれる気持ちがなければそれまでですが」

問題はそこである。三木氏の表現を借りれば、「会話は一種の共同作業」。相手しだいで弾むこともあれば、沈むこともある。こう考えたらどうだろう。

(的野弘路、山口典利=撮影)

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