せっかく名刺を交換したのだから、うまく人脈としてつなげたい。そう思う人は多いだろう。しかし、その名刺をもらった相手が本当に人脈に値するのか、それを考えているだろうか。顔の表情筋、姿勢、相手との距離、声のトーン……、一瞬で相手を見抜く鑑定術とは。
デスクに名刺の山。本当にそれは「人脈」ですか?
「あの人には人脈があるから、何をやっても強い」とか「実力はあっても人脈がないから、今度の企画は他社に負けそうだ」というように、人脈は「ある一定の力を持った人」とのつながり、「ヒューマン・ネットワーク」の代名詞として使われています。
ところが、実際に私たちが初対面で人に会って、まず名刺交換をするときに、この「人脈」における最も大事な要素、「ある一定の力を持つ人」というポイントを、すっかり忘れてしまう傾向があります。
例えば、仕事のつながりで、あるいは異業種交流会やパーティで、会社の周年行事や誰かの授賞式などで、私たちは次々と初対面の人たちに会い、名刺交換をします。
多くの人はパッと名刺をいただいて、「CEO」とか「代表」「部長」「課長」などと、なんとなく「トップ」の実力レベルを示す肩書がついていると、もうそれで安心してしまい、「今日は素晴らしい人脈ができた」などとひとり言をつぶやきながら、会社に戻ってせっせと名前や連絡先を入力します。
その頃には、もらった人の顔と名刺の持ち主がまったく結びつかず、「誰だかわからないけれど、とにかく入力しておこう」と、機械的に作業を続ける場合もあります。きっと誰しも覚えがあることでしょう。
そして、その人に本当にある一定レベルの相手への影響力があるか、社会的な生産性に貢献しているかどうか、という肝心な部分を見落としています。
初対面で、その人が「本当に人脈に値するかどうか」、そこを見抜くことこそが、この厳しい時代の勝ち残り作戦の第一です。
残念ながら日本は2010年、GDP(国内総生産)でも中国に抜かれ、世界第2位の経済大国の座を奪われました。その結果、取引上でも中国や韓国のビジネスパーソンとの名刺交換が多々発生します。
日本人相手でもこれほど不注意なのに、まして外国人の名刺の肩書だけを見て人脈になるかどうかなんて、わかるはずがありません。