早速私も、自分の担当している日本大学の大学院生7人を選び出し、彼らに1分間で自己紹介スピーチをしてもらったのです。そこからすべての音声要素を消し、たった「2秒」の動画を適宜抽出しました。

この「2秒」の実験について、これまで日本眼科医会、耳鼻科医会などをはじめ、多くの医師に参加していただき、さらには、いくつかの一部上場企業で講演に呼ばれるたびに協力をいただいて、ビジネスパーソンの結果も集計しました。回答者数は、計2000人を軽く超えています。

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「読顔」は、大学生でも可能で、2秒で十分ということが判明

そこでは、驚くべき結果が出ました。回答者たちは、たった「2秒」でこの7人の個性、「正直」「優しい」「誠実」のほかに「頼りない」「暗い」などを、ピタリと正確に言い当てたのです。しかも、動画を5秒、10秒と延長しても、なんと第一印象は変わらなかったのです。

ただし、1つ条件があります。この被験者たちには「2秒で読み取れるから、しっかり読み取りなさい」と、あらかじめ集中を促したのです。ぼんやり見ていれば、2秒どころか、その10倍の20秒、あるいは1分かけても読み取れないでしょう。

「集中」がポイントなのです。集中して人を見さえすれば、2秒で読み取れる。しかも、音声なしで。なんと恐ろしいことでしょうか。

相手が本当に「人脈に値する人」なのかどうか、目をこらして2秒間、自分の今までの経験すべてを総動員して相手を判断することが可能なのです。