「ちらっと床を見ると、かわいい女の子がぐうぐう寝ているんです。『おお、俺よりずっとタフだな』と感心してね(笑)。だけど夜、横になってみると地下街の床は冷えがすごいんです。翌朝は気温が摂氏2度くらいに下がったでしょう。凍死するんじゃないかと思いましたねぇ」

詩人で芥川賞作家の三木卓氏が朗らかな口調でこう語る。東日本大震災の当日、出先で身動きが取れなくなった氏は、やむなく「帰宅難民」の1人として川崎駅前の地下街の通路で夜明かしした。

75歳(当時)と高齢であるうえ、18年前に心筋梗塞を患い「痛風はある、糖尿はある、前立腺肥大はある。もう、何もかもある(笑)」という体である。気温2度のごろ寝が辛くなかったはずはない。