仕事のできるリーダーは何をしているか。エグゼクティブ・コーチの林健太郎さんは「これからの時代に成果を出すのは、『ついてこい型』ではなく、メンバーのさまざまな能力を引き出して新しいものを作る『共創型』のリーダーだ。その出発点が、『任せる』ことである」という――。

※本稿は、林健太郎『チームが「まとまるリーダー」と「バラバラのリーダー」の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

コワーキングスペースで働く若い日本人ビジネスマン
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任せるとは、任せたい用事を伝えることではない

チームがまとまるリーダーは「助かる」と言い、
バラバラのリーダーは「用事」を言う。

「任せることが大事」と言うと、多くの人がこう言います。

「でも、やり方がわからない」

それもそのはず。ほとんどのリーダーは、正しい任せ方を教わる機会がありません。

結果、自己流の任せ方になり、失敗しては悩むのです。

そこでまずは、知っていただきましょう。

任せるとは、任せたい用事を伝えることでは「ない」、ということを。

例えばAさんはふだん、こんな言い方をしているそうです。

「監査の日までに仕上げておくべき仕事は、1と2と3と4と……」
「あなたは1、あなたは2、あなたは3をお願い。提出形式はコレコレで……」

別に、間違ったことは言っていません。任せる際、必ず伝えるべき情報でもあります。

「なのに、残念なものを仕上げてくるのはなぜなんだ⁉」

とAさんは首をひねります。ちなみにAさんは、その提出物を受け取る際、たとえ出来栄えがいいときでさえ、「問題ないです」としか言わないそうです。

任せるときも受け取るときも、用事しか言わない。

これで部下は、「やるぞ」という気になれるでしょうか?

「いやいや、仕事なんだからやって当たり前でしょ?」とAさんは反論するでしょうが、実際、部下の仕事ぶりは今ひとつで、成長もしていません。