職場の人との会話にはどのように耳を傾けるといいか。エグゼクティブ・コーチの林健太郎さんは「優れたリーダーは、聞く姿勢で信頼を築いている。沈黙に耐えられるかどうかが、その分かれ道になる」という――。

※本稿は、林健太郎『チームが「まとまるリーダー」と「バラバラのリーダー」の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

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写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

話を聞いているつもりでも、人間は別のことをしたくなる

チームがまとまるリーダーは「傾聴」し、
バラバラのリーダーは「またその話か」と思う。

私たち人間は、「聞くこと」に関して、少々厄介な性質を持っています。

日本人の場合、1分間に話す単語はおよそ150語くらい(諸説あります)。

それに対して、脳が処理できる単語の数は、600語に上るそうです。

つまり人は、脳のフル稼働の約4分の1のパワーで、人の話が聞けます。

一見、いいことですよね。しかし「聞けてしまう」結果、人は話を聞く間、「別のこと」をしたくなります。スマホを見るとか、テレビを見るとか、別のことを考えるとか。

複数の作業を同時に行うことを「マルチタスク」と呼びますね。

しかし厳密に言うと、人間はマルチタスクをできません。同時に行っているつもりでも、脳は複数の作業を細かく瞬時に切り替えているのだそうです。

ここからわかる、不都合な真実。

人は、聞くときに別のことをしたくなるけれど、その結果、話は「ぶつ切り」になってきちんと聞けなくなる、ということです。

図表1は、人間が人の話を聞くときの、4つのレベルです。

まず、下の2段に注目。耳に入ってくる話を受動的に聞く状態が③パッシブリスニングです。それよりさらに無関心な、いわゆる「上の空」の聞き方が④スパウザルリスニングです。

配偶者(Spouse)や、長い付き合いの恋人・友人の話を聞くとき、そうなる傾向があります。