成果を出すチーム作りのコツは何か。エグゼクティブ・コーチの林健太郎さんは「スーパースター揃いでも、お互いがチームの成功や目標達成のために力を合わせられる能力(ポジティビティー)がないと、成果が出づらい。こうしたチームのポジティビティーを上げるには、中長期的投資として業務に関係ない話をすることだ」という――。
※本稿は、林健太郎『チームが「まとまるリーダー」と「バラバラのリーダー」の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
夫婦間で「とっさの助け合い」ができているか
チームがまとまるリーダーは「ポジティビティー」を醸成し、
バラバラのリーダーは「生産性」のみ追求する。
バラバラのリーダーは「生産性」のみ追求する。
私の「リーダー育成」活動の中で、「いいチームに欠かせない要素とは何か」は最大の関心事の1つです。
7年前、エスノグラファーとして活躍する友人・神谷俊さんに、とある調査を依頼したことがありました。そのテーマは、「仲のよい夫婦とそうでない夫婦の、コミュニケーションパターンの違い」。
エスノグラファーとは、特定の現場に入り、そこに属する人々の行動を観察・分析する仕事です。神谷さんは知人夫婦4組を訪れ、一定期間滞在することに。
調査後の報告は、意外なものでした。「会話パターン」には、仲よし夫婦も、そうではない夫婦にも特に違いはなかったのだそう。
しかし、仲よし夫婦には必ず「即興的相補性」があったという報告を受けました。
即興とはご存じの通り「とっさに」の意。相補とは、助け合うことです。
たとえばお子さんが泣き出したとき、「今手が離せないから、あなたお願い!」と言われて夫が快く応じるケースもあれば、「え、いきなり言われても」と戸惑うケースも。その違いは、夫婦関係の良好度と明らかに相関していたそうです。
さて、どうでしょう。皆さんのチームには即興的相補性、ありますか?
「自分は悪くありません。彼がチームの足を引っ張ってるんです」「なんで私が彼女をカバーしなきゃいけないの」なんて言葉が飛び交っているなら、かなりバラバラです。

