日本企業の生産性を上げるにはどうしたらいいか。複数の中堅・中小企業やスタートアップの経営をしてきた小松裕介さんは「日本社会の強みは、会社や仕事に対する一般スタッフの忠誠心の高さや真面目さから来る、業務の柔軟性である。しかし、この業務の柔軟性は、合理的・論理的に制作し24時間365日稼働するシステムとは決定的に相性が悪い」という――。(第3回/全4回)
※本稿は、小松裕介『1+1が10になる組織のつくりかた チームのタスク管理による生産性向上』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。
日本社会と相性の悪いシステム化
本書は『1+1が10になる組織のつくりかた』というタイトルだが、会社の組織を作ることで「1+1」を「3」にも「5」にもできるわけだが、今の時代はシステムを活用することで、これを「10」にできるようになったのだ。
それこそシリコンバレーでは、「ソロプレナー」といわれる一人のエンジニアが制作したシステム会社が時価総額1000億円以上のユニコーン企業になるのではないかと言われている。それほどシステムは社会にインパクトを与えることができるのである。
システムは、合理的・論理的に制作され、人間と違って時間を問わず反復継続して同じことをミスなく行うことができる。この特長をビジネスに活かさない手はないだろう。
ところが、日本企業はこのシステムの活用がとても下手である。もう少し正確に表現をすると、日本社会とシステム化とは相性が悪い。
日本社会の強みは、観光業の「おもてなし」に代表されるように、会社や仕事に対する一般スタッフの忠誠心の高さや真面目さから来る、業務の柔軟性である。より人間らしい気遣いや心遣いに世界中の人々が感動しているのだ。
しかし、この業務の柔軟性は、あらかじめ決められた業務を実行するという対極にある仕事の進め方のため、合理的・論理的に制作するシステムとは決定的に相性が悪いのだ。

