※本稿は、小松裕介『1+1が10になる組織のつくりかた チームのタスク管理による生産性向上』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。
あるべき公式上のコミュニケーション設計の中身
多くの社長は、同じオフィスに人が集まって仕事をすれば、自然と業務に必要な情報が流れていくと勘違いしている。
社長は、その会社においては最高権力者なので、何もしなくても社員や協力会社などからどんどん情報が集まってくる。情報は強い人に向かって流れてaいくのである。
しかし、自分が情報取得に不自由しないからといって、当然、全ての社員がそういうわけではない。
本当に必要なのは、その会社で決して声が大きくない人であっても、業務に必要となる情報が適時適切に流れていくように、コミュニケーションの整備をすることなのだ。
正しく会社のコミュニケーションの整備をすることで、ブラックボックス化された仕事の情報が他の社員にも情報共有されるようになり、誰が何の仕事をしているのか、また、その仕事の期限が守られていて問題のない状況かを全ての人が把握できるようになる。
これによって会社全体の透明性が上がり、より良い企業文化の醸成を図ることができる。
逆に、企業再生が必要な会社では、本来必要な情報が隠蔽されるなどして、コミュニケーションが分断されている。
社内政治が激化すると、情報を持っていることが社内の政敵を出し抜くカードになり、政治的な優位性を築くことにもなるため、情報共有をしないことにインセンティブが働くのである。
日本社会では、未だに職場の飲み会や上司と部下間における阿吽の呼吸や忖度など非公式のコミュニケーションを重視するところがあるが、それはあくまで公式上のコミュニケーションを設計した上に追加すべきものである。
当たり前だが、まずは社内で公式に情報が正しく流れるようにしなければ、各部署の社員が自分の現状を正確に認識できず、本来それぞれが期待されている役割を果たすこともできなくなる。

