斬新なアイデアはどうすれば生み出せるのか。クイズ作家の近藤仁美さんは「重要なのは“妄想力”だ。実現性を気にする前に、ふと浮かんだ発想を育てる訓練を繰り返すことが、成果につながるアイデアを生む」という――。

※本稿は、近藤仁美『クイズ作家のすごい思考法』(集英社インターナショナル新書)の一部を再編集したものです。

疑問符と電球マークの吹き出し
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咳止めトローチにはなぜ穴が空いているのか

クイズでは、しばしば断片的な情報が扱われる。それゆえ時折「そんなの答えて何になるの?」と聞かれることがあり、私もそれにはある程度同意する。

個人的な考えだが、クイズに答えることそのものは、たいして役に立たない。より正確にいえば、社会学の分野からは正解することで自分の有能さ・有用感を確かめるという効果が指摘されているが、クイズでしかこれらを感じられないとしたら、ちょっともったいない気がする。

どちらかというと、私はクイズそのものよりも、クイズを通して得たものを他分野で活かせたときや、クイズがきっかけで新しい事実に出会ったとき、他者とのコミュニケーションが活発になったときなどに、クイズが役に立ったなと感じる。

なかでも、私が一番重視するクイズの効能は、想像力が増す可能性があることだ。たとえば、クイズで咳止めのトローチに穴が空いている理由を知れば、サインペンのキャップに穴がある理由も察しがつく。あれらに穴があるのは、万一飲み込んでしまっても呼吸を妨げずにすむからだ。そうとわかれば、自分が開発する商品や人の子どもに贈るプレゼントでもこのようなことを考慮しようと思えるようになる。