ハンバーグレストラン「びっくりドンキー」を運営するアレフの業績が好調だ。2024年3月期は過去最高となる売上高489億円を記録した。2020年には系列店「ディッシャーズ」をオープン、まだ首都圏で3店舗ながら順調に客足を伸ばしている。人気の秘密を経済ジャーナリストの高井尚之さんがリポートする――。
「ディッシャーズ」で取材関係者が頼んだオリジナルバーグ
撮影=プレジデントオンライン編集部
「ディッシャーズ」で取材関係者が頼んだオリジナルバーグ

“びくドン”ではできないことをやる

ハンバーグレストラン「びっくりドンキー」(国内店舗数346店=2025年5月15日現在)を展開する株式会社アレフ(本社:北海道札幌市)の業績が好調だ。2024年3月期は「売上高489億円」で過去最高を記録。2025年3月期も最高値を更新する見通しとなった。

その会社の別業態に「ディッシャーズ」というブランドがある。コロナ初年の2020年にオープンし、店舗数は首都圏の3店にすぎないが地道に支持を広げてきた。

「2020年に比べて、『江ノ島店』(神奈川県藤沢市)は売上高134%・客数139%、『新宿住友ビル店』(東京都新宿区)は売上高217%・客数194%です。2023年12月にオープンした『錦糸町楽天地ビル店』(同墨田区)の2025年4月は前年4月と比べて売上高113%・客数115%と好調に推移しています」(広報担当・渡邊大介さん)

実はこの店、「びっくりドンキーではできないこと」をさまざまな視点で取り組んでいる。びくドンとは何が違うのか。運営の責任者に聞いた。

1人客が大半で6~7割が女性

「ディッシャーズは女性1人でも入りやすい店です。明るい店内で外から見渡せますし、カウンター席が多く、ちょっとカフェのような雰囲気もあります」

同社のDishersチーム チームリーダー・辻道拓央さんはこう話す(以下発言は記述ない限り同氏)。

Dishersチーム チームリーダー・辻道拓央さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
Dishersチーム チームリーダー・辻道拓央さん

今回取材したのは錦糸町店で、東京下町のターミナル・錦糸町駅からほど近い。土地勘がある人には映画館が多いビル「楽天地」としておなじみだ。

「『びっくりドンキー』はグループ客に人気ですが、1人で入るには少し勇気がいると思います。『ディッシャーズ』はそうした心理的ハードルを下げた結果、1人客が多く、肌感覚では6~7割が女性です。タブレットオーダーや自動精算機も導入しました」

消費者の抵抗感にも配慮したようだ。以前の取材で「1人利用の時、大声で店員さんを呼ぶのはちょっと恥ずかしい」(20代の女性)、「がっつり食べたい時、タブレット操作は気兼ねなく注文できてうれしい」(別の20代女性)という話を聞いたことがある。

「どの時間帯でも楽しめるメニューも揃え、錦糸町店では朝7時から自社焙煎のこだわりコーヒーがあります。アルコールはオリジナル自社製ビール『北の星流』もご用意しています」

カウンター席が多く、カフェのような雰囲気もある店内
撮影=プレジデントオンライン編集部
カウンター席が多く、カフェのような雰囲気もある店内