商品やサービスを相手に買ってもらうには何が必要か。キーエンスとプルデンシャルでトップの成績を残したSales Navi 代表取締役の田中大貴さんは「私はキーエンス時代にマイクロスコープ(顕微鏡)の営業を担っていた。商品に対する思い入れはなかったが、営業の原理原則を徹底的に押さえる行動を取ると、成果をあげることができた」という――。
※本稿は、田中大貴『売れる組織 売れる営業』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。
インサイト営業こそが重要な時代
現在のインターネット社会に変わる前は、買い手側と売り手側との「情報の非対称性」が厳然と存在していました。
「当社は、こんな商品・サービスを取り扱っていますよ」
それを顧客に案内するだけで、商品やサービスが売れていた時代がありました。つまり、プロダクト営業だけで営業パーソンの存在価値があったのです。
存在を知らなかった商品やサービスを知ることができた。情報の非対称性の解消そのものが顧客の課題解決になったため、それを知らしめる存在として営業パーソンの価値があったということになります。
厳密に言えば、現在も情報の非対称性は存在します。だからこそ「御用聞き型営業」や「プロダクト営業」でも、一定の成果があげられるのです。
御用聞き型営業やプロダクト営業は、ある一定の割合で残っていくでしょうが、これらだけでは、もはや限界が近づいています。
現在は、情報の非対称性に訴求する御用聞き型営業やプロダクト営業をやりつつも、顧客の課題を解決する「ソリューション営業」、さらには顧客自身が気づいていない潜在ニーズを見つけ出して解決する「インサイト営業」を組み合わせないと売れない時代になってきているのです。