当然、完成した商品のネーミングにもこだわった。「カッコつけてホワイトショコラなんちゃらと名づけても、スーパーで買う消費者には、何の商品かズバリわからないと受け入れてもらえない」と考え、白いココアと黒いココアというシンプルな商品内容に立ち返り、誰にでも一目で理解してもらえる「ネスレ ココアドール 白ココア」という名称にした。30~40代の大人の女性がターゲットであるため、キッチンに置いて誰かに見られても恥ずかしくないおしゃれなデザインにした。
発売直前の10年7月、食品卸の展示会場で実施された光文社の雑誌「Mart」の読者による新商品の人気投票で第2位を獲得した。その影響でバイヤーが飛びつき、発売前の段階ですでに出荷量が当初計画の7倍に達し、たちまち品薄状態となった。同社では急きょ協力工場にも依頼して増産したが、それでも生産が追いつかないほどの大人気商品となった。
発売から約1年半。木村さんはヒットを喜びつつも、数歩前を見据えて、こう語ってくれた。
「ココアは日本の全飲料の中で、まだ1%しか飲まれていません。でも昔は日本人にとってコーヒーを飲む習慣もなかった。それが朝食はトーストとコーヒーというスタイルを提案し、生活に定着した。ココアは子供の飲み物だと思われていますが、大人が夜ひとりでゆっくりしたいときにも飲んでもらいたい。日本にも大人がココアを飲む習慣を根づかせたい。時間がかかっても、それが実現できたらいいな、と思っています」
※白ココアは2013年2月製造終了 http://d.nestle.jp/other/cocoador/white_200.html
(工藤睦子=撮影)