(左)商品営業部 小田聖也/(右)チーフパタンナー 上家淳志

どんな女性も、胸はできるだけ大きく見せたいもの――。これは多くの人にとっての共通認識ではないだろうか。事実、巷には機能的なバストアップ商品が並び、ブラジャーにパッドなどを入れて胸を大きく見せるのも、女性にとっては普通のことである。しかし、ワコールではその名も「小さく見せるブラ」を2010年より販売。20万枚以上を売り上げる、隠れたヒット商品となっている。

きっかけは、若手の発想を汲み上げる目的で行われた「商品提案活動」。そこで1人の女性デザイナーが、自分の経験から「胸が大きいコンプレックスをなくす、胸を小さく見せるブラ」を提案した。通常、ブラジャーは胸をより大きく見せるためのもの。すぐに「商品化を」という話にはならなかったが、その後実施したアンケートで、20~40代の女性の10.7%が「バストをコンパクトに見せたい」という多数派とは正反対の希望を持っていることが判明した。

「斬新なアイデアだったので、印象に残りました。数としては1割ですが、ニーズの強さを感じたのでこれはビジネスになる! とピンときました。アンケートに後押しされる形で商品化を決めました」

こう語るのは、ワコールブランド事業本部で商品開発に携わる上家淳志さん。チーフパタンナーとして商品の形づくりを行いつつ、コンセプトメーカー的な役割も担っている。アイデアに広く目を光らせる日頃からの姿勢が、今回のヒットを呼び込んだ。マーチャンダイザーとして商品開発に携わる小田聖也さんも、「小さく見せるブラ」にチャンスを感じた1人。ブラジャーの売り上げに伸び悩んでいた時期でもあり、なにか面白いことができないか、アイデアの種を探していた。