日経平均が調整相場入り

年明け以降、日本株が低調に推移している。日経平均株価は2月28日に終値ベースで約3カ月ぶりに3万8000円を下回り、そのわずか1週間後の3月7日には3万6000円台へ下落した。その後、日経平均株価は3万7000円台で推移しており、年初来高値(4万83円、1月7日終値)からは6%程度低い水準にとどまっている。

下落幅が1000円を超えた日経平均株価を示すモニター=2025年3月11日午前、東京都中央区
写真=時事通信フォト
下落幅が1000円を超えた日経平均株価を示すモニター=2025年3月11日午前、東京都中央区

昨年7月に記録した史上最高値(4万2224円、終値)に比べると、現在は約11%の下落幅であり、いわゆる「調整相場」に入ったことになる。一方、日経平均株価と並ぶ代表的な株価指数であるTOPIX(東証株価指数)は、下落トレンドには転じていないものの、昨年夏場から始まった緩やかな上昇傾向が頭打ちとなっている。(図表1)

【図表1】株価指数の推移

日経平均株価がTOPIXよりも軟調な理由は、ハイテク株の下落である。ハイテク株には、株価水準が相対的に高い銘柄(値がさ株)が多い。採用銘柄数が相対的に多く、かつ時価総額で加重平均したTOPIXとは異なり、代表的な225銘柄を平均して算出する日経平均株価はハイテク株などの値がさ株の影響を受けやすい。

ハイテク株については、1月に中国の新興企業DeepSeek社が、人工知能(AI)分野で先行する米ハイテク企業に匹敵する性能のAIを低コストで実現したことをきっかけに、AI分野の収益性に対する過度な期待感が剥落し、ハイテク銘柄全般が世界的に下落基調で推移している。ハイテク覇権を争う米国と中国の対立は、1月に発足した第2次トランプ米政権下で一段と激化するとみられることもあり、先行き不透明感は根強い。