「平均価格1億4360万円」首都圏新築マンションに表れた変化の兆し
好調が続いたマンション市況に、変調の兆しが表れている。
不動産経済研究所の「首都圏新築分譲マンション市場動向」によると、首都圏の新築分譲マンションの価格は2023年に急騰し、2023年の3月には、首都圏平均で1億4360万円という記録的な高値を付けた。
その後も1億円近い価格を記録するなど高値圏で推移したものの、2024年に入ると7000万円台に下落。6月に8199万円まで持ち直したが、2023年中の高値には遠く及ばない。
新築マンションの平均価格は、高額物件の売り出しが重なると一時的に急騰する傾向がある。実際、2023年3月は、平均販売価格が1億円を超える大規模分譲マンションの売り出しが2棟あったことで、平均価格が1億4360万円まで押し上げられた。
もっとも、2023年の1月から12月までの年間平均価格は8101万円と、年間ベースでも過去最高値を更新しており、首都圏の新築マンション価格が2023年に急騰したことに変わりはない。2024年1~6月平均の7633万円という価格水準も、2022年平均の6288万円を大幅に上回っており、引き続き高水準と評価することも可能である(図表1の細線)。
中古マンション価格はすでに頭打ち
気になるのは、マンションの需給の変化を敏感に反映する中古マンションの価格が、既に2023年から頭打ちになっている点である。
不動産調査会社の東京カンテイが毎月公表している、首都圏中古マンション価格(70m2当たり)をみると、2023年2月に4866万円のピークを付けた後、緩やかな下落傾向を辿っており、2024年5月(4627万円)まで8カ月連続で前年同月を下回っている。
東京23区のうち都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区)の中古マンション価格こそ引き続き上昇しているものの、その他の区は概ね横ばい圏の価格推移となっており、東京以外の横浜市とさいたま市のマンション価格は、ともに前年割れである。