エキナカの小さな人気店

「1対1の真剣勝負。たがいに笑みがこぼれます」(モデル:ぷで 撮影:筆者)

JR秋葉原駅構内には、他の駅には見られない、ちょっと変わった小さな店があります。名前は「ブシロードTCGステーション」。TCG、つまりトレーディングカードゲームの代表的なメーカーである株式会社ブシロードの全国唯一の直営店舗です。数人入ると圧迫感を感じるほどの広さしかない店内では、関連商品を購入できるほかにも、店員を相手にゲームを楽しんだりできます。一部のユーザーの間でこの店舗が話題になり、遠方から電車で来店しては、駅構内から出ることなく、そのまま帰っていく人もいるそうです。

トレーディングカードゲーム(以降、TCG)とは、その名の通り、トレーディングカードとカードゲームを融合したものです。ブロマイドのようにさまざまなキャラクターが描かれたカードは収集する楽しみもあり、そのカードを使って本格的なゲームをすることもできます。TCGの発祥はテレビゲームよりも時代が下り、世界最初のTCGは今からちょうど20年前に米国で誕生しました。日本で最初の本格的なTCGは1996年に発売された「ポケモンカードゲーム」です。世界中で大ヒットしましたから、見たことがない方でも聞いたことはあるかと思います。

TCGのおもしろさを理解するには、皆さんもきっと遊んだことがある「将棋」を思い出せば分かりやすいと思います。TCGも将棋と同じように1対1で勝負をします。将棋の駒にはそれぞれに配置や使い方の決まりがあるように、TCGにもカードの配置や使い方に厳密に決められたルールがあります。そして、戦略によって勝敗が左右される奥深いゲームなので、1回の対戦には数十分かかるのが普通です。このように、TCGは将棋と同様に、時間をたっぷりかけて1人の相手とのやりとりを楽しむことができます。つまり、勝敗が決まるだけの単なるゲームではなく、対戦相手とのコミュニケーションの道具にもなり得るのです。これは、独りでプレイするテレビゲームでは決して味わえない楽しみです。