発がん性が指摘される化学物質「PFAS」が全国各地の水道水から検出されている。身体への影響を知る方法はあるのか。長年PFAS研究に携わってきた京都大学の原田浩二准教授は「血液検査で血中濃度を測る方法がある。残念なことに、日本では個人用の検査がほとんど進んでいないのが現状だ」という――。
※本稿は、原田浩二『水が危ない!消えない化学物質「PFAS」から命を守る方法』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。
その水、安全ですか?
あなたが普段飲んでいる水、それって大丈夫でしょうか?
自宅の蛇口をひねって出てくる水道水や井戸水の、ひょっとすると一部には発がん性のある化学物質PFAS(ピーファス)が混入していて、人体にとって危険性のある水を、知らず知らずに飲んでいたかもしれません。
と、冒頭から物騒な話をしますが、これはもう空事ではないのです。目には見えませんがPFASがいつの間にか私たちの暮らしの間近まで迫っており……いやむしろ、すでに暮らしの中でPFASに囲まれていると言ってもよいかもしれません。
では、このPFASとは一体なんなのでしょうか?
「水を弾く」「焦げつかない」「油がにじまない」
大まかに言えば「有機フッ素化合物」のことで、化学的には非常に安定していて壊れにくい。よって、安定であるということで他の薬品や、熱にも日光にも強い性質があります。
身の回りを見回してみると、「水を弾く」「焦げつかない」「油がにじまない」とうたった製品があったりしませんか?
たとえば、はっ水効果のあるレインコートやコート、ジャケットは雨に濡れても水玉になって落ちたりします。多くの場合、それは表面に、有機フッ素化合物でつくったフッ素樹脂の加工が施されているから、服自体に浸み込んだりしないのです。
スキーウェアが、雪がついても手ではたけばすぐに落ちるのもフッ素樹脂加工がされているお陰です。